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【ネタバレ】7Days to end with youをやったよって話

知るとは世界を広めることである

 聡明なる読者諸君等は新しいソシャゲや沼に頭からダイヴして世界の解像度が上がる経験をしたことがなかろうか? 私は原神を始めて駅にあるガチャポンのプライズからアンバーパイセンを見つけられるようになった。
 知識とは人生を豊かにし世界を色彩豊かにするものだと三十路を過ぎて思うようになった。それゆえニンゲンは知識欲に駆られて動く。
 知識は武器であり防具である。知識と理解で見えてくる世界は変わる。
 それを体験できるのが7 Days to end with youである。貴公、知識欲に理解らされちゃうタイプなら手を出したまえ。

 はいここからネタバレなのでやってない人でやりたいなって人は読まないように!

知るとは感情を揺さぶられることである

 このゲームは記憶喪失の主人公が未知の言語でコミュニケーションをとろうとしてくる「あの人」に言葉を教わりながらなんやかんやもがくゲームである。「あの人」が投げかけてくる会話は知らない文字で知らない言葉、自分はなーんもわからんしどうしたらいいのかもなんもわからん。わからんわからん尽くしである。
 ただただ「あの人」はかわいい。かわいいからわかりたい。
 とりあえず文字の種類に当たりをつける。カレンダーらしきものや色、文字数や一つの単語に含まれる重複する記号を見ながら単語を推測する。あながち間違ってなさそうだ。
 こうやって単語を探っていくと、ある単語が分かった瞬間にブワッと解像度が上がる瞬間が何度か訪れる。
 私は「一緒」「うれしい」「愛」がわかった瞬間に解像度が上がってやばかった。「眠る」「一緒」って君たち、いちゃいちゃしてんねえ!
 解像度が上がると「あの人」が言っていることがおぼろげながらわかるようになってくる。多分今かわいいこと言ってくれてる。多分今恥ずかしいこと言ってる。多分今悲しいこと言ってる。
 しかしながらしっかりわかってあげることはできない。肝心な単語の出現度が低くてわ、わかんないッピ。
 「あの人」はこんなにたくさん伝えてくれてるのに私は頭タコピーである。わかりそうでわかってない。わかってあげられない。情けないったらない。悲しい。
 私は終始ディスコードで四苦八苦している様子を愉悦している兄貴と通話してることを半分忘れながらめそっていた。

たぬき「ヒーンゴメンネェ……わかんなくてゴメンネェ……」

 しかし1回目のエンディングで突然きな臭くなる。私は「死」「もう一度」そして「錬金術」の単語がどの文字列なのか知っていたのだった。
 いやまぁオタクなんで二階見たらわかりますけど。これやってんでしょ。やられてますよ私。この■は私でしょ。
 今の私は「あの人」のことをわかってあげられない不出来なプレイヤーでしたが次の私は完璧です。次行くぞ次!

知るとは責任である

 二周目に入る前に記号の順序を整理しよう。私の見立てが正しいなら26個並ぶはずだ、よし並べよう。あれずれる、あれずれる、あれずれる、あれずれる、あれ??? もういいややーめた! これ絶対どっか飛ばしたりしてる! 私が間違えてるわけじゃないもん!!
 そういうわけで二周目、今度の私はちょっとわかってる。なるほどね、やっぱ私は生産されてるのね。
 さてちょっとわかった状態で色々お話ししよう。二階のことがイマイチわかりそうでわかってないからね。
 そういうわけで家中駆けずり回って解明させた「頭」「血液」「人間」の文字列ですが、まぁ人体錬成の材料なんてそんなもんだよね、我々は錬金術は等価交換であることをよく存じ上げている。オタクだから。
 一番笑っちゃったのは「錬金術」「失敗」である。あれ失敗した私では?
 ともあれ、「あの人」が何をしているかは理解した。問題は「たくさん」「人間」「頭」「血液」の調達先であるが、新聞に「人間」「消える」などと不穏なことが書かれてたからそれかもしれない。「たくさん」だからね、やってるよね。
 お客さんがやってきてどったんばったんしてから翌日、よく見えないなか二階のパスワードを解除しに単独行動へ。

たぬき「ここに記号の順序あるじゃん!!!」

 私の苦労を返してほしい。とりあえず指定された文字列を入力して隠し部屋へ。ははぁなるほどお客さんはここでどったんばったんされたのね。
 「あの人」に来てもらって「全て」を「伝える」してもらった。うんわかったよ、わかったんだけど、どうしたらいいんだろう?
 これは明らかに知ってしまったが故の責任だ。パスワードのヒントを読めるようになって、パスワードの答えを入れられるようになってしまったがためにわかってしまったことだ。何も知らなければ私はただ七日目に死ぬだけだったのに。
 知ってしまった私に「あの人」は言葉を求める。「何を」「考える」か、と。
 何を考えるか、私は「あの人」が繰り返し繰り返したことを責めるべきか、喜ぶべきか。だって「あの人」は「もう一度」「会う」「求める」「ぬくもり」「求める」と言っていた。けれど流れ星を見ては「一緒」「求める」と言いながらも「ごめんなさい」「忘れる」「求める」と悲しげに言った。
 「あの人」は私と共にありたいがためだけにこんなことを繰り返している。これを喜ばずにどうするのか。私は意を決して伝えた。

たぬき「嬉しい!」
あの人「ごめんなさい」「わかる」「ない」「さみしい」

 違うんかい!!!!!
 こうして最期の最期でディスコミュニケーションして撃沈した。落ち込む私に愉悦兄貴はこう言った。

愉悦兄貴「それ選んだの? 童貞すぎるんだけど」
たぬき「だってぇ!」(めそっている)
愉悦兄貴「さすがに嬉しいを選ぶのはさぁ」
たぬき「だってぇ!!」(めそっている)
愉悦兄貴「まぁ僕も最初それ選んだけど」
たぬき「きさまぁ!!!」(惰性でめそっている)

 まぁ最期に責任から逃れようとしてはいけないってことです。はい次いこう!

たぬき「でもこれって私が死んじゃったからだよね?」
愉悦兄貴「そうだね」
たぬき「ヒーンゴメンネェ……死んじゃってゴメンネェ……」

知るとは執念である

 さて、この周回の最中に単語は全て解読した。わからんものはあんまりない! いやある、「あの人」の名前と自分の名前だ。

愉悦兄貴「ヒントあげようか?」
たぬき「大丈夫」
愉悦兄貴「いけるの?」
たぬき「絶対に自分で解読する」

 そういうわけで、近しい文字列に当たりをつけてなんやかんやして名前を解読した。まぁ固有名詞なんで読めなくてもいいんですが、でもそれはさ、違うじゃん、呼びたいじゃん。

セオ「最初に、私の名前はセオ。あなたの名前はボイル。わかる?」

 ごめんね待たせて。やっとわかったよ。
 最後の周回、最後の日、再び私に責任を問う時間がやってきた。セオがやってきたことは罪だ。そしてそれを咎めてほしいと思ってるんだろう。前向きな単語を受け付けてくれないということはそういうことだ。

セオ「私のしてたこと、全部わかる?」
ボイル「わかるよ」
セオ「どう、思った?」
ボイル「これは罪だ」
セオ「…………そうだね。どうしたい?」

 ここで選択を委ねてくるか……「全てを受け入れる」か「全てを終わらせる」か。
 ここで受け入れてしまうとまたセオを罪の深淵に追いやってしまう。きっとボイルを作ることはやめられないだろう。
 何よりセオは咎めてほしいのだ。だったら、終わらせるほかない。でも終わらせるって、どう終わらせるの? とりあえず選べ!

たぬき「うわっ直接的すぎる!!!」

 直接的すぎてまためそった。めそめそである。

セオ「ずっと待ってたの、願ってたの。死にたいって、ボイルに殺してほしいって。ありがとう、ありがとう……一緒に眠ろう。あのね、お願いがあるの。最期にあなたからの言葉がほしいな」

愉悦兄貴「そこでエンド分岐あるよ」
たぬき「ここでぇ!?」(めそってる)
愉悦兄貴「ほらほらなんて言ってあげるの?」
たぬき「…………それは」

 それは、私が最も知りたかった言葉で、最も言いたかった言葉にした。

ボイル「セオ」
セオ「そうだね、ずっと、ずっと呼んでほしかった、セオって……ボイル、愛してるよ」

 こうして全てが終わったのでした。

たぬき「ゴメンネェ……死んじゃってゴメンネェ……一人にしてゴメンネェ……こんなことしかしてあげられなくてゴメンネェ……」
愉悦兄貴「いやぁ愉悦愉悦、いい反応だったわ」

知るとは……

 知ってしまうと色々考えたくなる。新聞の内容はさすがに読めないので攻略サイトで読んできた。ボイルは革命軍のリーダーで、おそらくセオは王女だったのかな、というのが私の考察だ。
 戦争集結後、多分ボイルはセオを連れて逃げたんだろう。しかし敵であった王族と革命軍のリーダーの駆け落ちなんてことは大変にスキャンダラスな事件だ。
 そういうわけで事情を知っている革命軍メンバーがボイルとセオを追い、返り討ちにしたもののボイルはそこで死んでしまった。そしてセオは錬金術を始めた。
 セオは文字の読み書きができて錬金術も理解できることから教育を受けられる身分にあったと思われる。その点もセオが王族なのではと推測している理由だ。
 訪ねてきた誰かがセオを王族だと認識できなかったのはおそらく革命軍の末端の存在で王族の顔を知らない、そしてボイルを認識できなかったのはボイルの見た目が変わってしまっていたからだと私は考えている。
 そして、最後のシーン。あれは遠い未来の別の世界で、今度はボイルがセオを見つけたってことなのかなと思っている。そういうハッピーエンドがいいなぁ、と願ってしまう。

 結局終始「ヒーンゴメンネェ」から脱することはなかった。
 いいゲームなので是非ともやってほしい。
 最後まで読んじゃったけどやりたくなった人は、なんかいい感じの角材で頭殴って忘れよう。
 私は記憶を吹っ飛ばしてまたやりたいです。

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