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APO マクロ 150mm F2.8 EX DG OS HSMが気に入っている理由

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今回はお気に入りのレンズの話をする。

シグマのAPO マクロ 150mm F2.8 EX DG OS HSMという望遠マクロレンズだ。

マクロレンズと言えば、50mm前後の標準、100mm前後の中望遠が定番で、メーカーによって200mm前後の望遠マクロも用意されていたりするが、150mmというのはあまりない。

焦点距離の長さの分だけ大きくて重さもあるので気軽に持ち歩けるレンズではないが、中望遠マクロとは違ったおもしろさもあるし、ブツ撮り用レンズとしても使い勝手がいい。

実のところ、すでに生産は終了しているのだけれども、思い入れの強いレンズなのでちょこっと紹介してみようと思う。

中望遠マクロと望遠マクロの中間の焦点距離

気に入っているところはいくつかあるが、いちばんは中途半端感たっぷりの焦点距離なところだ。

マクロレンズと言えば、50mm近辺の「標準」、それから100mm近辺の「中望遠」が定番で、その上に180mm、200mmあたりの「望遠」をラインナップするメーカーもあるが、メジャーなのはそのあたりまでだろう。

フィルム時代にオリンパスが135mmのベローズ用マクロレンズを出していたけれど、中望遠と望遠のあいだの焦点距離のはほとんどない。

ようするにレア。そこのところが好きなんである。

と言うか、そのレアな焦点距離のおかげでほどほどに引きがとれるところが気に入っているのだ。

撮影倍率が同じであれば焦点距離が長いほど撮影距離が長くなる。

たとえば、35mmフルサイズの画面の長辺いっぱいに長さ15cmのものが写るときの撮影距離を計算してみると、

50mm 0.21m
70mm 0.29m
90mm 0.37m
105mm 0.44m
150mm 0.62m
180mm 0.75m
200mm 0.83m

というふうになる。

おおざっぱな計算なので実存のレンズとはかなり差があるはずだが、そこらへんは目をつぶっていただくとして、焦点距離が長いほど撮影距離が長くなるのはおわかりいただけるだろう。

撮影距離が長ければワーキングディスタンス(レンズ前縁から被写体までの距離)も長くとれる。

自分の体やレンズの影に悩まされることも少ないし、虫に逃げられにくいというメリットもある。室内撮りだと照明を入れたりレフ板を立てたりするスペースが確保しやすくてらくちんというのもある。

大きめのブツを撮るには長すぎても困る

一方、長辺いっぱいに長さ40cmのものを写す場合の撮影距離を計算してみると、

50mm 0.56m
70mm 0.78m
90mm 1.00m
105mm 1.17m
150mm 1.67m
180mm 2.00m
200mm 2.22m

となる。

180mmだと2m、200mmで2.22m離れないといけないことになる。

野外で花とかを撮る分にはわりとどうにかできる距離だが、自宅でブツ撮りをやろうとなると切実な問題になる。

なにしろ、たいして広くもない賃貸物件の居間にセットを組むのだ。うしろの壁までの引きはあまりないし家具だってある。

そういう生活空間の中でブツから2m離れた位置に三脚を立てて、ファインダーなりモニターなりを見ながら、なんて余裕はない。

つまるところ、小さなものや部分カットを撮るようなときは焦点距離が長いほどよくて、でも望遠レンズ付きのカメラの全体を撮りたいときなんかは長すぎても困る。

そのちょうどいい落としどころが、ワタシの場合、150mmだったわけだ。

パースペクティブによる変形が目立たない

パースペクティブによる変形が目立ちにくいのも気に入っている点だ。

焦点距離が短いレンズではパースペクティブの関係で遠い側がすぼまって写る。

ブツ撮りでのパースペクティブは画としてかっこよく決まればいいが、そうでない場合は見苦しいだけになる。

被写体に正対して撮れば見苦しさは抑えやすいが、レンズのような円筒形のブツを真横から撮るような場合でも、焦点距離によって写りに差が出てしまう。

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これは70mm F2.8 DG MACRO Artで撮ったものだが、ズームリングやフォーカスリングと鏡胴との境目の線が湾曲して写っている。

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こちらはマクロ 105mm F2.8 EX DG OS HSMで撮ったもの。70mmに比べれば湾曲の度合いはマシになっているものの、それでもまだ目立つのは目立つ。

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で、最後がAPO マクロ 150mm F2.8 EX DG OS HSMで撮ったもので、湾曲の度合いがさらに抑えられて見映えもよくなったと思う。

まあ、こういうのは気にしなければどうということもないし、実際気にしていない人も多いと思う。

が、気になっているのにほうっておくのもおもしろくない。

となると、やはり焦点距離の長いマクロレンズがほしくなるんである。

SGVレンズではないものの使い勝手は悪くない

サイズはシグマSAマウント用のが最大径79.6×長さ150.0mm。重さは1,150gで、これは着脱式の三脚座をふくまない数字だ。三脚座をつけた状態での実測値は1,235gだ。

けして軽くはないが、泣けるほど重いわけでもない。シャッタースピード4段分の効果を持つ手ブレ補正機能を備えているので、貧弱なワタシの腕力でもそこそこ手持ちで頑張れる。

ただし、SGV(シグマ グローバル ビジョン)以前のレンズなので、ミラーレスカメラとの組み合わせはおすすめしない。

もしかすると純正マウントアダプターをつけたキヤノンEOS R系やニコンZ系でもそこそこ使えるかもしれないが、検証はしていないので明言はできない。

安心してすすめられるのはやはり一眼レフとの組み合わせで、そちらならAFもスムーズに動くしピントの精度も問題ない。

が、LUMIX DC-S5やSIGMA fpとの組み合わせはだいぶいただけない。MOUNT CONVERTER MC-21(MC-11もだが)が非対応なこともあって、AFの動作はぎくしゃくするし、ピントの精度ももうひとつあやしい。正直、あまり動かしたくないレベルになってしまう。

なものだから、モデルチェンジを待っているのだが、フルサイズミラーレスカメラ対応のDG DNレンズもメジャーどころがまだ出そろっていないだけに、当分先になっちゃうんだろうなぁとも思っている。

まとめ

とまあ、そんなところに例のアレの影響で外で撮る機会が減ってしまったこともあって、最近はほとんどブツ撮り専用レンズと化しているのだが、お気に入りのを寝かしたままなのも口惜しい。

とは言え、生産が終了しているレンズを今さらレビューするのもどうかと思うのでこちらで紹介することにした次第である。

以下、Photoshopで圧縮だけした作例を12点掲載しておく(ニコンD600のとキヤノンEOS Kiss X7iのはRAW画像をLightroom Classicで調整なしで現像した)。

クリックすると横位置のは1280×854ピクセル、縦位置のは1280×1917ピクセルに拡大される。

世知辛くて申しわけないが、生活苦軽減のため有料とさせていただく。APO マクロ 150mm F2.8 EX DG OS HSMの写りが気になる方はご購入をお願いする。

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ニコンD600 絞り優先AE F5 1/320秒 +0.7EV ISO160

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ニコンD600 絞り優先AE F4.2 1/160秒 +0.7EV ISO110

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ニコンD600 絞り優先AE F6.3 1/160秒 -0.7EV ISO280

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ニコンD600 絞り優先AE F8 13秒 -0.3EV ISO100

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キヤノンEOS Kiss X7i マニュアル露出 F4 1/100秒 ISO400

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キヤノンEOS 80D マニュアル露出 F2.8 1/80秒 ISO800

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キヤノンEOS 80D 絞り優先AE F3.5 1/250秒 ISO100

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キヤノンEOS 80D 絞り優先AE F4.5 1/125秒 +0.7EV ISO200

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キヤノンEOS 5D Mark IV 絞り優先AE F2.8 1/100秒 -0.3EV ISO100

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シグマsd Quattro 絞り優先AE F4 1/400秒 +0.7EV ISO100

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シグマsd Quattro 絞り優先AE F4 1/640秒 +1.0EV ISO100

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ソニーα7 II 絞り優先AE F2.8 1/60秒 ISO3200


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