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相席バーに初めて行った時のこと

数年前の穏やかな冬の休日、わたしとぴよ子(仮名)とぴよ美(仮名)の3人は、ぴよ美のおうちにいた。ちょうど石原さとみさん(以下敬称略)が表紙の女性ファッション誌があったので、我々はぴよ子をメイクで石原さとみそっくりに似せるという遊びをしていた。髪型も似せたぴよ子の完成度は中々のもので、「これもうほぼさとみじゃない??」と盛り上がる我々。ついでにわたしは「韓流アイドル風」、ぴよ美は「清楚OL風」に仕上がった。

お腹が空いた我々は、いつもとは違うメイクの顔をひっさげて、餃子を食べるべくススキノに繰り出した。餃子を食べながら、なにかの流れで「相席バーって行ったことある?」という話題に。わたしは未経験であったが、ぴよ子は一度行ったことがあるらしく、女性はドリンクとフードが無料、男性のお客さんが来たら相席になり、仲良くなれるというシステムとのこと。たまたま遠くはないところに相席バーがあったため、我々は若干の期待をしながら相席バーに向かった。

相席バーは、通常は足を踏み入れることはないであろう、黒を基調としたキラキラしたところだった。しばらく3人でおしゃべりをしていると、「男性3名いらっしゃったので、相席よろしいですか?」と店員に声をかけられた。男性の姿はわからなかったが、とりあえずわたしたちがOKすると、店員は男性を連れてきた。

チンピラがきた。

正確にはチンピラではないのだが、わたし基準ではチンピラとくくりたくなる風貌の男が3人きた。一人は真っ黒に日焼けをしたシルバーアクセじゃらじゃらワンブロック。もう一人はポケモンマスターのようにキャップ被ったガタイの良い坊主頭。もう一人はやたら声がでかいボス風のメガネ。真冬だというのに3人ともズタズタにやぶれたジーパンを履いている。むき出しの膝が赤いよ。人は見かけで判断をしてはいけないというものの、わたしは恐ろしすぎてほぼ無言になってしまった。話によると、彼らは本州からの観光客で、一緒に遊んでくれる女の子を探しているとのこと。なるべく早めに会話を切り上げて帰ろうかと思っていたところ、メガネ氏に「お姉さんたち優しそう、こういうところに来るといつもさ、ブスほど俺らと話す価値ないとか文句言ってくるからさ!マジムカつくんだよね!」と、まさかの先制攻撃。畜生。その後も柄の悪さを感じつつ、なんとなく会話を続けていたところで、メガネ氏があることに気がついた。

メガネ氏「お姉さん(ぴよ子)さ、芸能人の誰かに似てるって言われない!?俺当てていい!?」

わたしたち「さとみだ・・・!!(心の声)」

間違いない、われわれのメイクにより、ぴよ子がほぼ石原さとみになったことが証明された!ナイスメガネ氏!外に出た価値があった!

ボスメガネ「シャ乱Qのまことの奥さんに似てるって言われない!?」

わたしたち「シャランキュウノマコトノオクサン・・・?(心の声)」

わたしたちの渾身のさとみは、富永美樹さんだった。(キレイな方です!)

予想外の回答に衝撃をうけ、そのあとの会話はあまり覚えていないが、とりあえず、なにか理由をつけて早めに解散し、無事帰宅した。

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