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掛軸 二十六幅目から三十幅目

二十六幅目 一口吸尽西江水

この言葉は、『馬祖語録』『龐居士語録』『法演禪師語録』など、様々な典籍にあります。

「万法と侶たらざる者、是れなん人』と問われ、「西江の水を一口で飲み尽したらいってやろう」と答えます。

「森羅万象と離れた存在とは?」
「西江とは大きな川であり、その川の水を飲み尽くすことができたら教える。」
ということです。

これは絶対無理な事です。

西江だけではなく、宇宙全体を飲み尽くすという境涯だとか。。。

無理な事です。

これは、その覚悟はあるか?という事です。

人に聞き、答えが出たとしても、それは答えではないのです。それを聞くという事は、その答えを掴む氣があるのか?

簡単に聞かず、まず考えなくては。

さて、
利休は、この一口吸盡西江水に一言くだします。

禪人云く、鯉趨りて庭を過ぐ。 
師曰く 、意旨如何。
禪人云く、.活溌々地。 師便打。

鯉がピチピチ跳ねていると。。。

飲み干したのです。

西江、宇宙全体を飲み尽くしたら、何が見えますか?

一口吸尽西江水


二十七幅目 神光輝乾坤

乾坤は易の卦であり、「乾」は天、「坤」は地の意味を持ちます。ですから乾坤で天地を表します。

神光輝乾坤とは、神の光が天地を輝かせる。という解釈になります。

今回の旬味会は祇園祭の趣向になります。

祇園祭は、祇園御霊会と呼ばれ、貞観11年(869)に疫病が流行したとき、 平安京の神泉苑に、国の数66ヶ国にちなんで66本の矛を立て、祇園の神を祀り、 災厄の除去を祈ったことに始まります。

鉾の巡行があるかないかしか、話題にはなりませんが、祇園祭は、7月1日「吉符入」にはじまり31日の境内摂社「疫神社夏越祭」まで、数々の神事が行われているのです。

神光輝乾坤
全国・世界中に輝きが届く事を願います。


二十八幅目 瀧(たき)

さんずいに龍。
これだけで、涼しさを生み出します。
茶室に瀧飛沫が注がれるような。


二十九幅目 水声松韻一渓深
「劫外録」にある言葉です。

水の声と松の音が合わさり、深い渓谷一面に響き渡っている様子です。

そして、この言葉には
月色波光全体妙
と続きます。

波に映る月は、全面が揺れて砕けて映る。

自然界の音が合わさり、それに合わせるかのように波をうつ水面。

頭に浮かべれば、涼しさが起こります。
暑さはまだしばらく続きそうです。くれぐれもお体に氣を付けてください。



三十幅目 雲悠々水潺々

空の雲は悠然と動くことなく浮かんでいます。谷川の水は絶えることなく潺々と流れています。

雲と水は静と動

雲のように心無く自在の「無心」に、水のように形無く自由の「無相」である姿です。

全ての物の生き様と言う解釈もあります。
生きる為には静と動が必要、無心と無相が必要と言うことでしょう。

オリンピックも終わりましたね。
終わりとは「静」です。次は「動」です。
また、絶えることなく潺々と動かないと。

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