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2024年9月14日 本が売れるということ

・お店に到着してまずやることは気温の確認。お店から見える位置に山とかバイパスで見かけるデジタルの温度計があるのだ。表記は27度。まだ夏が粘っている。窓を開けておけば涼しいのが山の良さ。
三連休の一日目ということもあり、いつもより前の道路を通過する車やバイカーさんも少ない様子。この状況で本を買いに来る方がいる…?と早くも初日は一冊も売れない覚悟を決めて、開店。

・本屋のオープン日、最初のお客さんは大きめのトンボだった。優雅に入店し、店内を闊歩したのちに外へ向かうも窓に激突。開放している入ってきたドアから出ていく様子がないので、窓を開けてあげた。標高634mにあるお店なので飛行能力を持った虫は度々店内に入ってくるが、みんな決まった窓にぶつかって、その度に私が逃してあげている。いつか恩返しがあるかもしれない。

・静かな山の中、レジに座っていると「本屋」のことばかり考えてしまう。自分の未来に本屋の座標が打たれた今、当たり前の思考ではある。
よく考えることは、街にある本屋と山にある本屋ではどう違うのだろう、とか。
山の上で本屋をやることについて、立地的には悪条件に取られるかもしれないが、私は全く思わなかった。もちろんアクセスは悪いが、山を運転していると突然現れる開けたところに位置していて、なんなら街にある個人商店より見つかりやすいと思ったほどだ。
元観光案内所という立地が影響してか、吸い込まれるように道を尋ねるお客様が数名ご来店していた。
ARBOR BOOKSを目的に来てくれる方も、ふらっと行ける場所ではないからこそ何か買って帰ろうと決めてくれやすいんじゃないかな…?という下心もある。
あ、でもリピートという観点で見るととても不便ではあるか。

・午前中は作業を進めたり、いろいろ考えたり、本をパラパラ見ていると過ぎていき、迷って辿り着いてしまったらしい数名に道案内をしたくらいだった。
お店を覗く方はそこそこいるのだけど、まるで本なんて視界に入っていないようにされていた。「本」というでかい看板もないから本屋感があまりないかもしれない。
ただ、私は施設を問わず、少しでも本が並んでいたら飛びついて見てしまう性分なので、改めて人はそれぞれだなあと簡素なことを思った。
先日訪れた静岡の「柚木の郷」というスーパー銭湯がすごかった。広いロビーのど真ん中に泊まれる本屋のようなスペースがあって、周りに本が大量に並んでいた。そして、選書がめちゃくちゃいい。あれは確実に本にこだわりのある担当さんがいるだろうな。

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