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【#クマ活】クマ活=ゴミ拾いとは?

世界自然遺産 知床。
北海道の自然を代表する大型哺乳類
ヒグマの高密度生息地として有名ですが、
知床のヒグマ問題は深刻化しています。
ヒグマの人慣れや
ヒグマ渋滞(ベアジャム)の発生、
市街地への侵入などなど

この問題を解決するべく、
私たちは「クマ活」を行うことにしました!

北こぶしリゾートの60年の恩返しとして、
知床をつづけていく活動に本気で取り組みます!!

2021年8月下旬から9月末までの毎週月曜日に、知床ウトロ地区周辺の河口の見回り・ゴミ拾いを行いました。

なぜ見回りやゴミ拾い?


知床の川を遡上するサケマス。川が黒く染まります。

毎年7月から10月ごろまで、カラフトマスやシロザケが知床の海に姿を現し川へ遡上を始めます。これを狙って毎年多くの方が釣りを楽しまれており、場所・時を同じくしてヒグマもマスやサケを食べるために河口付近にやってきます。この時にヒグマの誘引物(例えば人の食べ物や釣った魚、釣りえさなど)が放置され、それらの誘引物をヒグマが一度でも口にすると、その場所に食べ物があることをヒグマが学習してしまい、何度も出没を繰り返すようになるのです。

海岸で漂着物を漁るヒグマの姿。(廣瀬正人 撮影)

これまで人目を避けて慎重に行動していたヒグマもびっくりするほど行動が大胆になっていきます。また何度も出没を繰り返していく中で、人と食べ物の関係を関連付けて学習してしまうと、人身事故を引き起こす可能性が高くなってしまいます。そのような状況になってしまうと、地域住民や観光客等の安全を確保するために駆除せざるを得ないことがあるのです。

ヒグマの誘引物の除去、特にごみの投棄への対策には頻度の高い見回りが必要です。1回目の見回りの際に誘引物が無くても、その直後にごみが投棄される可能性は十分に考えられます。しかし、この時期、ヒグマの出没や目撃(中には、ヒグマに接近するなど人側の危険行動も)が相次いで発生し、そちらに野生動物対策員の人手を取られてしまうため見回りが十分に行えていない現状がありました。

今回のクマ活では、ホテルの業務に支障が出ない範囲で継続して見回り・ゴミ拾いを行い、同時進行で情報発信や普及啓発も行うことを目標に活動を計画しました。

知床に落ちているごみ


8月23日の北海道コンサドーレ札幌 河合CRCとともにした見回り活動から始まり、合計5回(雨天のため1回中止)の見回り・ゴミ拾いを行いました。

北海道コンサドーレ札幌様との取り組みはこちら

【クマ活】北海道コンサドーレ札幌様と活動しました!(2021年8月23日)

活動は朝食のレストラン会場やチェックイン業務が終わるころの10時30分から活動を開始。スタッフ5名ほどとハイエースに乗り合わせ、見回りポイントに向かい1時間ほど活動を行いました。活動のポイントについては事前に知床財団の方に問い合わせ、安全を考慮してヒグマの出没がない場所を選び活動を行っています。

海洋ごみが転がっている中を歩きながら、ヒグマの誘引物である食べ物のごみを探します。実際に拾ったゴミには、生ごみや釣り餌、お弁当や飲み物の容器がありました。

釣った魚をさばいた残りのようなものもありました。

このように魚の残滓を置き去りにする方もいるようですが、誘引されたヒグマが「人がいる釣り場所に行けば簡単に食べ物が手に入る」と学習してしまう可能性があります。このごみ一つをきっかけにヒグマの駆除、人身事故の発生が起こる危険がありますが、なかなか利用者のマナー徹底が難しいため、河口利用の規制や閉鎖を行っていた事例があります。

周辺の駐車帯でも、食べ物の包装容器が草むらに紛れて放棄されていて回収するのがとても大変でした。草むらや海、知床の豊かな自然はごみ箱ではありません。

クマ活の活動を通して


想像していた以上にごみが多くあり驚きました。また、活動は1週間ごとにしていたにもかかわらず行けば毎回何かしらの(しかも新しい)誘引物・ごみがあるという状況でした。1回あたりスタッフ5名で行きましたが、それでもすべてのごみを拾い切れているわけではありません。この活動にかかるマンパワーや時間を考えると、数少ない野生動物対策の専門スタッフのみできることではないと改めて思いました。

また、活動中に声をかけてくださったり、ゴミ拾いを手伝ってくださった観光のお客様や釣り人の方もいらっしゃいました。私たちの活動を通して一般の利用者の行動に繋がっていければ、見回りの負担も減っていくのではないかと思います。

川を遡上する鮭、それを獲るヒグマ。知床の自然を象徴する光景であり、これらを観察し、釣りなどを楽しむことはとても貴重な自然体験です。世界に誇れる自然が残る知床で、ここでの体験を楽しみにお越しになる皆様をお迎えすることが私たちの役目です。

ただ、マナーや自然への敬意を忘れてしまった行為(ごみを置いて帰る、ヒグマに必要以上に接近するなど)は、歓迎できません。

皆様ご自身が知床の自然を「その時に満足いくまで楽しむこと」も大切かもしれませんが、「来年も数十年後もこの自然があり続けられる」ためには、自然への敬意を忘れず最低限のマナーは守った中で楽しむことが必要だと思います。

今回の見回り・ゴミ拾いには、当ホテル、知床財団のスタッフを始め、北海道コンサドーレ札幌様、ピッキオ知床様、LANTOKO様にご協力いただき、延べ30人の方にご参加いただき、合計24袋のごみを拾いました。また、ごみの回収には斜里町役場ウトロ支所の皆様にご協力いただき、駐車スペース確保のために地域住民の皆様からもご協力いただきました。本当にありがとうございます。

今後とも北こぶしリゾートはクマ活、知床をつづけていく活動に取り組んでいきます!

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