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知ってる?乗ってる?エレキテル!

私の友人に「ドライブが趣味」と言い切る女性がいました。
「いました」と過去形なのは、数年前彼女は病気で突然亡くなってしまったからです。
彼女はドライブが趣味と言い切るだけあって、日帰りで東京―岩手(往復約1.100キロ)をするようなツワモノでしたし、一緒に旅行をしていても私が運転を替わることは一度もありませんでした。
この世にいない彼女にもはや尋ねることはできませんが、ずっと疑問に思っていたことがありました。

何がそんなに楽しいのか?

ということです。
彼女はマニュアル車の運転ができなかったので、プライベート車はオートマチック車です。
それも色と見た目重視なので、機能や排気量に惚れて買っているワケではありません。
当然のように足回りをいじるでもなく、買ったままのノーマルな状態。
車内は装飾もせず、お守りひとつないまるでレンタカーのようでした。

一緒に旅行をした時のことです。
旅先で借りたのは日産マーチのオートマチック車です。
ナビが「この先23キロ道なりです」と言ったまま黙り込むような信号もない田舎の一本道。
日も沈み、真っ暗で何の面白味もありません。
それでも嬉しそうにハンドルを握っている彼女を私はただただ不思議に感じて見ていました。

運転そのものが好きならもっと車をいじるでしょうし、非日常的への移動が好きなら鉄道でも良いはずです。
ですが彼女の車への気持ちとスタンスは亡くなるまで変わりませんでした。

最近自動運転がいよいよ現実味を帯びてくると、ふと思うことがあります。
自動運転でも彼女は「ドライブ」が好きと言うのだろうか、と。

話を自転車にうつしてみて、本格的なeバイクが今後さらに手頃な価格となり、私が趣味としてそれを使い始めた時、私は今と同じ気持ちで「自転車ツーリングが好き」と言うのかな、と思います。
言うのだとしたら、私にとってツーリングとはどんなことをすると定義していたのかな、と自分のことながらよくわからない部分があります。

いや、そもそも趣味の乗り物としてそれは成り得るのでしょうか。
eバイクの楽しみがハッキリと見えた時、私の友人が言っていた「ドライブが好き」という気持ちも見えてくるのかな、などと思ったりします。

試乗をしても1滴の汗もかかないこの乗り物に、プラスにもマイナスにも今はまだ感情が動きません。
構造に対する驚きとインパクトの部分を超えて、乗り物として認識して私の中に入り、感情をゆさぶられる日はくるのでしょうか。

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