ボードレール『悪の華』「読者に」

ボードレールの詩集『悪の華』を読み始めた。最初の「読者に」と題された詩がもう凄かった。

愚かさ、誤り、罪、吝嗇は、
われらの精神を領し、肉体を苦しめ、
われら、身に巣食う愛しい悔恨どもを養うさまは、
乞食たちが蚤や風をはぐくむにも似る。

われらの罪はしぶとく、悔悟の情はだらしがない。
告白をしただけで、お釣りがくるほどの気持になり、
けが 卑しい涙に一切の穢れを洗い落したつもりで、
ぬかるみ 浮き浮きと、泥濘の道に舞いもどる。

シャルル ピエール ボードレール『悪の華』「読者に」(阿部良雄訳)

最初のこの二連だけで、自分の醜い所を突き付けられて、本を閉じてしまう。
自分の悪い所を自覚して、悪いと認め、時に謝れば、それでもういい気がしてしまう。そうして自分を甘やかして生きてきているわけだけど、そうじゃないんだぞと見透かされているのが苦しい。

この気持ちはやがて弱くなり、無くなってしまう物だと思う。そうした時に、あるいはその少し前で再読したらいいのかも知れないけど、この初読の衝撃以外で、自分を変えられる気もしない。どうだろう。

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