IMG-4745_のコピー

テンヨウ先生

大学時代の恩師である加藤典洋先生が亡くなった。お別れの会などがあるものなのか、ゼミ生だったともちゃんに聞いてみようと昨日友人と話した。
私が最後にお会いしたのは3年前で、久々に会った先生は、当時爆発していた髪型が普通の人のようになり(むしろ本日の雨風で私の方が典洋ヘアーだ)ぱっと見はお元気そうで、私たちのことも「声と名前でなんとなく思い出した!」と言ってくれた。

大学時代私は、ばかほど好きになった人を1年間追いかけまわしてやっと付き合ってもらえることになったため、大学で勉強なぞする余裕はなかった。でも、典洋先生の「言語表現法講義」だけは狭き門の抽選を突破し(絶対!当たると思っていた)毎回出ていた。
先生は、私たちの拙い文章を丁寧に見てくれて、良いところを見つけて褒めてくれた。いつもちょっと“自分”が強い感じの男の子の文章を「ラウドスピーカー」と言ってボリュームを下げる仕草をしながら紹介したり、チャーミングな人だった。

死ぬほど好きだった人からもらったものは何一つ残さず捨てたが、先生の授業のプリントは全部とってある。最後の授業で私が書いた感想に、先生がくれた返事を見たら「後半から、ホメられたらイキイキしてきました。人をホメるのは大切ですね。自信もつこと。なかなか、いいです」と書いてあった。ホメられたい私、恥ずかしい…。でも、若くて何もかもなんだか怖くて自信もなかった私は先生が本気でこちらを見てくれたと思ったから、書くことを仕事にしたいと思った。先生に会わなかったら、彼氏の言うことを聞いてずっと本屋のアルバイトをしていたかもしれない。(社会に出る才能がない、文才もない、と言われていた。作家になるんじゃないんだから文才とかいらないし!と反発していたが、彼はただ働いて欲しくなかったんですね)

先生どうか安らかに。
寂しいです。とても。


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