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オンラインで演劇を作ってみようと思った話。


一個前のノートを劇場の取締役としてだいぶ重たいのを放った関係で、次にどんなことを書くんだろうかとか思っていたのですが、やっぱり演劇をずっと10年近くやってきたのだから、演劇の話を書くことにしました。
タイトルの通り、オンラインで演劇を作ってみようと思います。

6年前(!)に劇団で会議劇を作ったことがありまして、いわゆる上演時間=劇中の時間、の、2時間ずっと会議をするだけのお芝居だったんですが、これが自他ともに私のクリエーターとしての代表作みたいになりました。本当に会議するだけ。二時間。もちろん途中で休憩を挟んだりするんですが(会議は。お客様は2時間ずっとご覧いただく形です。)まあ役者さんも皆様よくやってくださったなと思うことしきりの演目だったのです。
で、時は流れて6年後、コロナです。人と人が出会う、ということが価値の一つである演劇にあって、人と人が直接出会うことを防がなくてはいけなくなったわけです。これは困った。例にもれず私も諸般の様々なプロダクションの整理をしたり、あるいは劇場のことでミーティングを重ねたり、最近ではコロナ鬱、なんていうことばも出たりしてますけど、気づけばずっと手元の紙に円を描き続けていたり、同じ伝票を3回起こしてしまったりみたいなことが発生していました。
そんな中ある日、ふと全く別のweb会議に参加しました。結論から言うと、まじで会ってる感覚になりました。いや、もっと厳密に言えば、「自分が会議中に普段している仕草」をすげえ自覚しました。私も自分のカメラの様子がスクリーン上にあり、ある時は口を曲げてみたり、ある時は理解してますと大きくうなずいてみたり、途中から「「「会議に参加している」演技をしている」自分の演技」にダメ出しをしたくなったりしていました、ってところで気づきました。

あれ?これはもしかすると演劇にできるかもしれないよ?と。

そして重ねて。

あれ?おれこんな台本、書いたことなかったっけ?と。

そして、こんなツイートをしてみたんです。

そしたら、以前一度ご出演いただいたことのある、敬愛するコロさんからすぐやるよ!とのお返事をもらい、ここから雪崩を打ったように出ていただける俳優さんに手を上げていただきまして、みるみる企画が進行、そしてプロデューサーを劇場スタッフの大石くん(ブルドーザー)にお願いしたところ、即日企画書を作ってくれまして、今日こうやって皆さんにお知らせすることができましたの巻です。

怒涛だった……

つきまして、全編オンライン稽古、オンライン公開、という演劇作品の創作を始めることになりました!!

劇場を閉じるnoteを書いて以降、コロナの状況は全く収まる気配を見せず、かつ演劇だけに限らない各種イベントが次々に中止を余儀なくされる中で、演劇をどうやって皆さんにお届けすることができるのか、というこの業界が今直面する大きな問題の、その一つの出口にならないかと思っています。

ちょっと僕がよく使う例えなんですが、演劇を古来から何万キロと脈々と続く大河と捉えたとき、(今私なんかは河口の数ミリに浸かっているに過ぎないと思うのですが、)その折々で数々の障壁にぶつかり時にこの河は流れを変え、疫病や災害に流れを遅めたり、あるいは類まれなる才能の出現に逆にその流れを速めたりしながら、ここまで流れてきた。その河口に浮かぶ一人として、今揃った条件の中で、少しでも次の流れになにか資することのできる可能性があるのではないか、という上演形態にこだわりました。そして、それは「オンラインでの会議劇」でした。

演劇の最小単位、それは
「演じる人がいる、そして、それを見る人がいること」
だと、大昔にボロ屋の部室で、学生劇団の先輩に言われた言葉です。
インターネットの海の向こうで、あなたに見ていただけることを信じます。
勝算も何もまだない状態で、この筋に賭けてやろうと集まった皆さんの力をお借りして臨みます。

ぜひとも皆様、ご興味を持っていただけますと幸いです。

カムヰヤッセン 北川大輔

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