蒼井四葩

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夕焼や電信棒の鳥の影

季語:夕焼【夏】

    • 初蝉や鏡の前で正す襟

      季語:蝉【夏】 初夏になると初蝉の声を聞く。梅雨が明ければ、一斉にいろいろな蝉の声が聞こえてくる。

      • 梅雨晴や電車の眠る人ぐらぐら

        季語:梅雨晴【夏】 梅雨の最中に晴れ上がること。

        • 梅雨晴の葉っぱ大きく開きけり

          季語:梅雨晴【夏】

        夕焼や電信棒の鳥の影

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          よたよたと子が追いかけるしゃぼん玉

          季語:石鹸玉【春】

          よたよたと子が追いかけるしゃぼん玉

          敷石につまずく女性青嵐

          季語:青嵐(あおあらし)【夏】 青嵐とは青葉のころに吹き渡るやや強い南風のこと。

          敷石につまずく女性青嵐

          梅雨入りの朝パトカーの前渡る

          季語:梅雨【夏】

          梅雨入りの朝パトカーの前渡る

          梅雨晴やいま遊んどけ子どもたち

          季語:梅雨晴【夏】

          梅雨晴やいま遊んどけ子どもたち

          古団扇あおぐのやめて口隠す

          季語:団扇【夏】

          古団扇あおぐのやめて口隠す

          子供と大人

           大学からの帰り道に少女と目が合った。そうすると、少女は逃げるようにして走った。おそらく、怖がらせてしまったようだ。後ろにいる僕をちらちらと見ては、少し走ってまた歩く。それを繰り返して、マンションへ入った。同じマンションの子かと思って、少し気まずい。  首に掛けていた鍵を慌てて差し込むような音。ドアの開く音に、走る足音。普段ポストを見て帰らないけれど、向かおうとしてすぐに止める。少女に悪い気がして。  エントランスからのスロープを通ったら、開いたままのエレベーターにどきっとし

          子供と大人

          萌芽

           紺色の空に一つの星。自転車に乗っているときの風の音。早朝バイトに向かう十五分間は空気がとても澄んでいて気持ちいい。ただ寒い。それが冬の欠点。いや、自分の弱点。けれどベイマックスみたいに厚いダウンは全くその風を通さない。  京都の中心から少し離れたここは都会でも田舎でもない。嫌いではないけれど、好きでもなかった。この町では星が綺麗に見えないから。  少しずつ東にある山際から明るくなっていく。それでもどうにかして星が夜を留めようとする。不可能なことに挑む姿はかっこよくて悲しい。

          『昨日星を探した言い訳』の感想

           『昨日星を探した言い訳』を読み終えて、まず思い出したのが拝望会の場面でした。現実的に考えれば、そこには車椅子で通行する安全性などの問題や事前に参加連絡をしないという間違いがあります。それでも相手の価値観や我儘を型に当てはめて否定することや理屈ではなく感情を優先するといった理想的な美しさがありました。僕は読んでいて涙が滲みました。  そのように読めたのはそれまでの風景描写や心理描写が丁寧であったからだと思います。具体的には、橋本先生と坂口の会話や坂口と綿貫の会話などがあるでし

          『昨日星を探した言い訳』の感想