昨夜の映画が脳裏に蘇る

「ドゥーーー　ドゥーーー　ドゥーーー」

重低音が眠りの底に落ちているオレを表層界へ引き摺り上げようとする。

混沌の中で僅かな思考が動き始める。

「　　・・アラーム　　か？　・・」

今日は　　ゆっくり　寝ていられるはずだったが・・・

コレは　　妻のスマホの　アラーム音・・

　　ではなくてバイブレーション・・・？

妻はいつも音を鳴らさない・・
　オレを起こさないように、バイブレーションが作動するかしないかのうちに、すぐ起き出すはずだ。

・・・再び混沌へ落ちて行く。

「ドゥーーー　ドゥーーー　ドゥーーー」

再び重低音がオレを揺さぶる。

　おかしい　・・・まだ起きないのか

　こんな事は　これまでなかった・・・

昨日見た映画のシーンが蘇る。

　ベッドを抜け出した妻に降りかかる悲劇！

「まさか！」

　瞬時に嫌な予感に襲われたオレは
　
　漆黒の闇の中

　飛び起きて妻の寝ていたはずのところをまさぐる

　ん！

　いるじゃないか！

　なぜアラーム・・・！

　いや、コレは

「ドゥーーー　ドゥーーー　ドゥーーー」

　爆睡する妻のいびき。