見出し画像

第б回裏短コン#2「ひかく」


7位 soga作 「ひかく」

ひかく

作意手順 
93角生、
58飛成、66角成/58飛生、66角生
46玉、
47歩、
同竜、35竜/56玉、36竜
まで7手詰。

画像2

正解:34(1)※ 誤解:0 無解:0 無評価:0
評点:2.705
順位予想 1位:- 2位:3票 3位:2票
ベストタイトル投票:7票(優勝!)
※変同手順のどちらかが書いてあれば正解とした。

第б回裏短コンの中で最も裏短コンらしいと言える異色作。
上記の作意手順は、シナトラ流の表記を採用させていただいた。

初手93角生は態度保留の一手。2手目58飛成/生の両方の手順に、66角成/生と対応する手順を見ている。
2手目、
①58飛成に66角生は、46玉、47歩、同竜、35竜、56玉で不詰。
②58飛生に66角成は、46玉、47歩が打歩詰で不詰。
と、成には成、生には生でしか詰まないようになっている。
そして、この2手目3手目の「飛角」成生の「比較」が本作の狙い。58飛成/生の手順は上記の作意を見ていただければわかるが、どちらも駒余らずの変同。つまり、どちらも作意手順である「変同ツイン」なのだ。一般的に詰将棋で2つの手順を同時に表現するには複数解といった形式が用いられるが、変同を利用することであくまでも普通の詰将棋という範囲内で二つの対応する手順を表現することに成功している。

変同はほとんどの場合キズとして扱われ、本作の変同もキズとして評価するか悩む評も見られた。しかし、裏短コンという前衛的な作品が多く発表されている場ということもあり、多くの方に狙いが伝わったようだ。またキズとして判断されても、あまりある3連続不成の手順が評価され7位という順位を獲得した。

タイトルも作品の内容にマッチおり、!7票と断トツの票を集めベストタイトル賞に輝いた。
おめでとうございます!

作者コメント
「成生を一旦保留する手筋+変同」です。
58飛の成生と66角の成生を変同ツインに仕立てました。
変化手順で成らないといけない箇所が何箇所かあるので、表現としてはあまり純粋な表現ではありません。(去年もそうでした)
※成が必要な手順が一つ、不成が必要な手順が一つというのが理想ですが、そうなっていません。

nono_y「2手目成なら成・不成なら不成を実現するための初手最遠移動不成
。5手目まで同一手順の美しい変同ツイン。」
園川「成生が一致の場合は詰みを、不一致の場合は不詰を出力する
(否定排他的論理和を連想)。魔法にかかったような心地。」
tsumegaeru「成には成で、不成には不成で対抗するのが面白い。」
田川雄大「飛角の成生を比較する」
藤原俊雅「どちらが作意なのか分からず。まさかこれで両方作意ということは無いはずですが…」
菊田裕司「成には成、不成には不成の対応。7手でよくできている。手順がさえないのはやむを得ないか。」
mituhiko「お互いならずの飛車と角のコンビネーションが楽しかったです。」
オオサキ「成には成、生には生、この素材は7手で消化するのはもったいないような気もしたけど、34角45香の配置には7手に詰め込むぞという強い気持ちが感じられる。」
金少桂「変化同手数が等価値であることを見事に活かした2解的表現。変同利用の新たな傑作です。」
soga「(生の手順の最終手以下の余詰は見落としです。すみません)」
大瀬戸「初手が巧妙。手順は素直。」
ミーナ「成には成。不成には不成。そういう演出なのですね。
見方を変えれば、これも両王手しない系。」
ほっと「2手目58飛不成だと66角不成。あえて変同にしているのだろうか。」
雲虚空「収束が盛り上がりに欠けるものになってしまいましたが、頭の3手は面白いと思いました。」
まゆしぃ「最近流行りのツイン解。どれくらい浸透しているかはわからないが、プロブレムを解かない人には違和感があるのだろうか。」
だっしぃ。「受け方の手も含め3連続の不成があって良かった。」
おかもと「初手が用心深い手。2手目の応手でツインが狙い?」
馬屋原剛「変同は敢えてかな。2手目飛成だと34角が働かないのが気になる。」
太刀岡甫「生には生、成には成。変同利用でむしろ創作難度は下がっているが、7手で3連続生は相当すごい。
対比もかなりうまくできている。作者予想は青木裕一さん。
柔軟な発想による構想作とタイトルのセンス、あと不成が好きそう。」
上谷直希「"飛角"の成生の"比較"。生には生で、成には成で応じる。変同はきっと意図的でしょう。」
虎野亜奈「成には成、不成には不成。変同はあえてでしょうね。」
斎藤光寿「成生対比の複数解だろうか。解説が楽しみだ。」
青木裕一「成生をめぐる攻防が面白い。後出ししたい双方の態度が成生なのも、統一感があって良い。」
山下誠「飛角3連続不成の華麗な出だし。」
まつきち「双方大駒不成。2手目応手によって成の変化があるのが好ましい(変化との対比もタイトルの意図なんでしょうね)。」
宮田敦史「2手目飛生が最終手余詰付き変同のようだし、作意とひかくしてもそんなに似てない。」
松下拓矢「飛角の成不成を比較せよということか。
飛車が成るなら角も成り、飛車が成らないなら角も成らない、まさにハンムラビ法典。普通ならこの非限定はキズだが、本作の場合はむしろ好感を持てた。」
黒川「意図的な変同だから評価が人によって割れそう。自分は好きです。」
梶谷和宏「なるほど、58飛生と58飛成の比較であり、その比較を演出しているのが飛角というわけですね。とても面白いけど、詰将棋のコンクールという観点で見ると、作意がはっきりしない変同作ということになってしまうのでしょうか?私は作意がはっきりしていれば変同は全く問題なし派ですが、本問は両者の比較が互角ですね。もちろん作者のねらいはその互角を目指したものでしょうが・・・なので評価は難しい。」
奥鳥羽生「成不成 呼吸ピッタリ 合気道 (二解なり どちらの答え 多いやら)」
風みどり「2手目成は変同?」
三輪勝昭「2手目58飛不成は66角不成、46玉、47歩、56玉、36龍迄でこちらが作意と思うが割り切れていない?
58飛成を解答したのはひねくれでなく47歩、同龍の方が手順優位と判断したからです。」
keima82「主眼は初手のように思えますが、おそらく本当の狙いは2手目。
△58飛成なら▲66角成以下詰みますが、△58飛不成とすると▲66角不成以下。これは単なる成不成非限定ではなく、手順が完全に変わってるので「変同」になると思います。キズであるはずの変同が主眼というのは、自分は聞いたことがありませんでした。
こういう試みもあって面白いとは思いますが、「キズは減点する」、という立場をブレさせたくないため、8点としました。
2手目が限定なら9点か満点にしていました。
キズを消せなかったのではなく、かなりの実力者がわざとネタを投下したような印象を受けました。」
「成には成、不成には不成を。」
有吉弘敏「2手目58飛成は、66角成、46玉、47歩、同龍、35龍まで同手数7手でしょうか。(2解という事?)。それとも2手目58飛生は、最終手44香があるから作意じゃないのかな・・。やはり見せたい手順は一意にしてほしい。」

画像3

☆作者予想は三名が予想的中!
チェスプロブレムや前衛的な作品を創るイメージのある作家に票が集まった。