第б回裏短コン#4「ワンパク」

5位 斎藤光寿作 「ワンパク」

ワンパク0手

作意手順
65角、46桂合、54角、47玉、56竜、同玉、65角迄7手詰。

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正解:34(1) 誤解:0 無解:0 無評価:0
評点:2.718
順位予想 1位:2 2位:0 3位:1
ベストタイトル投票:-

奨励会3段であり、詰パラ本誌では怒涛の入選ラッシュしている二刀流の作者。本作も安定感のあるツボを押さえた好作で、見事5位に輝いた。

27地点が空いているので、とりあえず54角と両王手をしてみたくなるところ。しかし47玉とされると、87竜、58玉、55飛、69玉、89竜、79金合、87角、68玉と王手は続くが捕まらない。初手43角成も、これまた47玉で際どい手順も多いが耐えている。

そこで、47を睨み54角とするのが正解。27玉は、54角、36合、87竜で詰んでいるため、46に合駒が発生。37歩、27玉、38角を見て46桂合に決まる。

46に合駒に発生させた意味が一見わからないが、今度こそ54角、47玉とした時、その意味に気が付く。46桂が壁になり、56竜、同玉、65角で詰むようになっている。

本作の狙いは角による時間差攻撃。両王手できるのにすぐに両王手せず、一旦途中下車するのが面白い。
さらに、初形はいかにも両王手したくなるようになっており、この紛れを絶対に読むように創られているので、狙いがストレートに伝わるようになっている。初手と最終手で角がスイッチバックするようになっている点を含め、見事な手順構成と配置だ。

作者コメント
角による時間差攻撃が狙いです。
65角は玉方に一手指してもらおうという意図で、
変化、作意共に54角で詰むのが主張です。
初手から似た局面に誘導できるため、
これが手渡しの感覚に映れば嬉しく思います。
作品タイトルは一拍置く65角にかけ「ワン拍」としました。

☆タイトルの意味は作者コメントの通り。
タイトルの意味に気が付けたかどうかも、作品の評価に繋がっていそうだ。

nono_y「作意は一目だが、2手目27玉の変化が難物。解答を書こうとして2手目限定に感心し、書き終わって初手と最終手が一致していることにさらに感心」
園川「あえて一拍おいてから角を54に出てみると46が塞がっている。」
tsumegaeru「しばらく狙いに気付きませんでしたが、初手いきなり54飛は詰まないこととの対比ですね。
面白いです。2手目が限定合であることを確認するのにしばらく悩みました。」
田川雄大「時間差攻撃」
藤原俊雅「両王手拒否で壁桂の発生+Switch back。素晴らしい!」
菊田裕司「あえて両王手をかけずに退路封鎖のために限定合を発生させる。
捨て駒から角のスイッチバックで詰ます味が良い。」
mituhiko「桂馬の限定や角の一歩一歩進む感じなど繊細な印象を受けました。」
オオサキ「1枚パクるからワンパクだろうと思ったけど、1枚もパクらなかった。自分もこのネタで1つ作ってみたいと思わせてくれる好作。上手い。」
金少桂「壁駒発生のための疑似テンポムーヴ。タイトルはワン(一)パク(拍)で、一拍おいて54角という意味かな。」
soga「何合してもこの手順で詰むなーと思っていました。」
大瀬戸「結構時間を使った。角の動きに味がある。」
ミーナ「最近みかける、両王手しない系。蓋ものの一種?
変化にそなえた桂合限定がうまい。」
ほっと「一拍置いてからの54角が面白い。桂合以外のときの37歩が見えにくくて合駒非限定かと思ってしまった。」
雲虚空「題名のワンパクとは、1拍おいて54角を出るという意味でしょうか。」
まゆしぃ「合駒をそのままの位置で退路封鎖に逆用するのが見えにくい。」
だっしぃ。「紛れの変化が多くて良かった」
おかもと「一拍おいて合駒を壁駒に逆用ですか。」
馬屋原剛「最初、2手目の合は非限定だと思った。危ない危ない。」
太刀岡甫「長谷川作にあったように、途中下車することにより壁駒を発生させる狙い。
手順はより洗練されていて、変化紛れも楽しめる。好作。
作者予想は園川さん。合駒について研究されていて、こういう変わった合駒を出せる人だと思う。」
上谷直希「両王手ができるところでしない。
 当初は2手目合駒が限定できるとは思えずなかなか踏み込めなかった順。」
虎野亜奈「盲点に嵌って時間がかかった。初手54角では詰まず、ワンクッション置いて桂合を壁にするのが面白い。」
青木裕一「両王手できるところをあえてしない。
2020年1月詰パラ中学校長谷川作と同じ狙いだが、こちらは収束まで決まっている。タイトルは腕白?よく分からないのは減点要素。」
山下誠「6五角と1拍おいて5四角が絶妙のリズムで、6五角に終わる。」
まつきち「1マスずつ動く角の動きはユーモラス。」
宮田敦史「ワンパクって腕白じゃなくて一拍と言う意味か、、、。」
松下拓矢「角のムーンウォーク。」
黒川「54角を1回我慢するのがいいですね。」
梶谷和宏「ひとつ上がって、桂合をさせてまたひとつ上がる。なんとも奥ゆかしい。そして収束はビシッと決まった!」
奥鳥羽生「一拍し 退路封鎖の 桂生ず」
風みどり「壁造りをテンポ風に実現。これは上手い。」
三輪勝昭「初手67角から読んで大苦戦。平凡な65角に中々気付かず。
で46桂合に54角と出てみるとあら不思議。両王手になるところをわざと両王手にならないようにしてる。
この狙いの新鮮さ。
変化の巧みさ。今回の優勝と予想します。」
keima82「いきなり▲54角とできるところを、あえて途中下車して合駒を埋めさせるのが上手いです。」
「38歩の意味を考えると分かる合駒」
有吉弘敏「角の移動先が多く楽しめた。舞台装置が非常に上手くできている。」

作者予想結果

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☆作者予想的中者は1名のみ。しかし、作者がわかると「なるほど」と納得の声が多かった。