第б回裏短コン#6「Site Owner, Cite Honor」

3位 青木裕一作 「Site Owner, Cite Honor

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作意手順 75飛、37玉、65桂、26玉、27歩、35玉、73桂成。

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正解:33 誤解:2 無解:0 無評価:1
評点:2.813
順位予想 1位:3 2位:4 3位:8
ベストタイトル投票:3票

☆本作は名誉手筋の限定移動版。

参考図:詰パラ2019.2 馬屋原剛作

名誉手筋図面

参考図の馬屋原剛作は初手97香と打ち、後に香筋を通す98銀と香筋を止めて打歩詰を回避する96銀の二つの手を見ている。

参考図を踏まえ本作に戻ると、初手は75飛と中途半端な位置に限定移動し、65桂と85桂を用意する。
初手85、95飛は25銀合!、同角、37玉、65桂(38銀は26玉で打歩詰)、26玉で逃れ。
また、55飛は37玉、65桂、26玉の局面が打歩詰。25飛、36玉以下も
 ・28飛は35玉以下、25飛は36玉で38飛は36桂右で逃れ。
 ・15飛は25香合、同角、26玉で逃れ。
 ・24飛は25香合、同角、35玉で逃れ。

初手75飛だと桂を跳ね分け飛筋を通すか通さないかを選択できるので、
2手目作意順の37玉だと、65桂と飛車筋を止め打歩詰回避し以下詰み。同じく2手目25銀合は同角、37玉(36合は38銀以下同手数駒余り)、85桂と飛車筋を止めないように跳ね、26玉、27銀迄同手数駒余りとなる。

限定移動版名誉手筋という高級手筋を、たった7手ですべての変化紛れを割り切り創るという驚異的な内容。思いついても実現は難しく、作者の構想力と作図力が存分に発揮された一局だろう。
構想の面白さ、紛れ手順中の25銀合等が評価され見事3位に輝いた。

作者コメント
名誉手筋を限定移動で行いました。開き王手の限定移動でもブルータス手筋だから、名誉手筋も同様のはず。
理屈としては、飛の利きを止められないと27歩が打歩詰、逆に飛の利きを残せないと25銀捨合以下の不詰、故にどちらの余地も残す7筋のみが詰むというものです。
タイトルは「サイト所有者(=kisyさん)よ、名誉を引用せよ(=名誉手筋で1作作れ)」。実際のところ、語呂合わせしたかっただけです。

☆作品の内容だけでなくタイトルもセンス抜群!
ベストタイトル賞で3票を集め「籠城」と並び4位となった。

園川「裏の短コンの開催、表現の探検に喝采。」
tsumegaeru「選択肢を残すための75飛が素晴らしい。」
田川雄大「37玉と25への中合で跳ねる方向を変えるとは」
藤原俊雅「変化で85桂も残す限定移動。その変化も見えにくく作られていてgood。」
mituhiko「飛車捨てを見せつつじわじわと追い上げていく手順が面白かったです。」
オオサキ「遠打でできることは遠開きでもできる理論。
最初、85飛や95飛ではダメな理由が2手目57玉の変化で飛車が遠くて詰まないだけなのかと錯覚した。
香も桂も27香までとか18桂までとかで割り切ることができそうなので、
品切れにせずに作ることはできなかったのか、初形のごちゃごちゃ感は少し気になった。」
金少桂「名誉手筋を空き王手の限定移動で表現。将棋盤の横幅がもっとほしくなる。
英語の掛詞のタイトルもうまい。作者は出題サイトのオーナーのkisyさん?」
soga「中合の有無で局面を切り分けた上、最短の7手でまとめているのがすごい。」
大瀬戸「裏短コンらしい意欲作。」
ミーナ「すげぇ!思いつくのもすごいが、成立させるのもすごい。
ことし解いた短編では断トツ。」
ほっと「名誉手筋の引用ということか。サイトオーナーというタイトルを信じることにしよう。」
雲虚空「桂香が品切れになっていますが、これは必要な措置なのでしょうか?」
まゆしぃ「どちらにも桂が跳べるようにするというのは面白い。」
だっしぃ。「打ち歩回避があって良かった。」
おかもと「2手目の応手によって桂を跳ね分けるのは面白い。」
馬屋原剛「名誉手筋を7手で実現するとはたまげた。名誉手筋の2号局が早速出てきて嬉しい。紛れは25銀合で逃れるのが高級。」
太刀岡甫「名誉手筋の横型。7手でできるのは驚き。
中合を使って割り切るところも洒落ている。作者予想は相馬慎一さん。
オオサキさんと言いたいところだが、本人に否定されてしまった。
詰将棋界トップクラスの構想力がないと作れないと思う。」
上谷直希「先に75飛が見えて、「なぜ75なのか?飛筋遮断の有無に関わるのは間違いないのだが…」と理屈を考え始める。そうか中合か!」
虎野亜奈「最初ブルータス手筋かと思って95飛~85桂との違いがわからず熟考。馬屋原作のあの手筋だったか。」
斎藤光寿「最初は95飛~85桂の成立メカニズムを考えた。
応手の25銀合が切り替え機構の価値を高めているのだ。今回二番目に好きな作品。」
山下誠「初手、飛車をどこに開くかが最後に分かる。」
まつきち「初手限定移動が素晴らしい一手。最初95飛でも詰むと思ったら25銀合の妙防があった。
変化に備えて桂の跳ね場所を残したのが命名の意図か。」
宮田敦史「初手95飛左だと25銀!で詰まない?最終手は気分的に生。」
松下拓矢「初手の限定移動が絶妙。」
黒川「このアイデアを移動手でできているのはすごい。」
梶谷和宏「悩んだ末に初手75飛を発見したが、えっ?85飛でも同じじゃないか?でも裏短コンにそんな緩みがあるはずない!そうか、85飛には25銀合い
が妙防で、このとき85桂とできないわけだ!」
奥鳥羽生「中間打 態度保留の 如き桂」
風みどり「これは名誉手筋と言っていいの?ただこの名称は変更した方が良い。」
三輪勝昭「25中合で85桂と出来るように75飛。構想は素晴らしい。
内容は高く評価しますが、僕は詰上がりに大駒が不要になる作品は大減点しています。」
keima82「初手が限定されている意味が分かった時は鳥肌が立ちました。満点。
タイトルの意味は理解していないですが、満点なら文句はないでしょう。」
「隠す、隠さないを選択できる位置へ」
有吉弘敏「作意と変化で桂跳で飛の効きを殺したり生かしたりしないといけないためにその中間の位置に飛車を限定移動するというのは、非常に面白いし初めてみる気もします。25合の変化を気にされて、4桂・4香を配置されたのだと思いますが、無駄合でよいのではないでしょうか。」

☆作者予想

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☆意外にも的中者0名。
タイトルの「Site  Owner」につられてかkisyに3票。
その他は前衛的な構想作を創るイメージのある作家陣が並んだ。