小説「英彦(えひこ)の峰の気を負いて」抜粋⑮
秋 東京日本橋
「ねえ、明日の晩、急だけど、日本橋あたりで集まらない、私、ちょうど予定がなくなったから、時間ある?」
初秋の頃、橋本雅子の声がけで、平田厚と和田裕二の三人が日本橋の小料理屋に集まった。三人が顔を合わせるのは2月以来だった。
「久しぶり、元気だった?みんなで集まってから、もう半年以上経ったよね。その後、どうしてた?」席に着くなり橋本が声をかけた。
「そうだね、早いね、あれから結構、みんなに変化があったよな。やっぱり今年は俺たち65歳になるから人生の節目だ