読書経験談始め 〜万葉と沙羅を読んで〜
初夏を感じる雨の夜、吉祥寺で待ち合わせる予定だった弟から1時間遅れると連絡が入った。酔った学生や弾き語りの喧騒が鬱陶しく、閉店直前のBOOKS RUHEに入ってみる。3冊買ったうちの1冊が中江有里さんの「万葉と沙羅」。
万葉と沙羅は幼馴染で、通信制高校で再会する。万葉は古本屋でアルバイトをしており、訪れた沙羅が探し、読むを繰り返すことで物語が動き始める。
2人の日常は進学や家族事情によって大小の時間スケールで変化し、時には重い展開が訪れる。しかしながら読了後に暗い印象をそ