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毎日新聞記事「入管で警備員が収容者暴行」を2倍の深さで読むために

まずポイントは「収容中の男性が業務委託先の民間会社の警備員から暴行を受け」ってところじゃないですか。野次馬的な関心は私も人並みにあるので(照れながら)。

どこですか民間って。と思ったら見に行くところがありまして

行政事業レビューとは,各府省自らが,自律的に,概算要求前の段階において,原則全ての事業について,予算が最終的にどこに渡り(支出先),何に使われたか(使途)といった実態を把握し,これを国民に明らかにした上で,外部の視点も活用しながら,過程を公開しつつ事業の内容や効果の点検を行い,その結果を予算の概算要求や執行等に反映させる取組であり,行政の無駄の削減はもとより,事業の効果的,効率的な実施を通じ質の高い行政を実現するとともに,国の行政の透明性を高め,国民への説明責任を果たすために実施するものです。

とりあえず過去10年分、委託先を調べたらずっと同じ会社で、それはそれでいいし(官公庁と民間企業の関係ってそういうものだから)ここで固有名詞をあげることはしないのですが、もし興味があれば

法務省トップページ > 白書・統計・資料 > 予算・決算 > 公表情報
 > 法務省行政事業レビュー
 > 令和〇年度行政事業レビュー
 > 行政事業レビューシートの最終公表
 > 円滑な出入国審査及び不法滞在者等対策の推進
 > 00XX 被収容者等の処遇
って辿っていけば、受託金額や当該社名は載っています。

なお、ウィシュマさんの話でも延々書いてきた私の持論は

例の名古屋入管職員しかり、今回の牛久の警備会社のスタッフしかり、個人を責めることで本筋を見失うべきではない。組織としての責任が問われている。というものでして、じゃあそんな私が行政レビューシートを10年分、並べて見て思ったことは何だったか。次のふたつでした。

(1)「点検・改善結果」欄

2012年度

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2013年度

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2014年度、2015年度

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2016年度、2017年度、2018年度、2019年度、2020年度

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2021年度

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最新令和3年版は最終公表ではなく中間公表だから、年度終わってから表現が変わるのかもしれませんが、コピペ続けた過去5年、嘘でも「人権にも配慮しつつ」って言ってきたのが突然の「コスト削減や効率化の取組」自慢ですよ。これ何。

(2)受託企業の名前は挙げませんよ。と言っておきながらナンですが、2015年度を境に、受託スキームが変わっていることに気がついちゃう。
おそらく見た目の金額を少なく見せるためだと思うのですが、別名義の組合に受託させ、そこに自社警備員を配置していく知恵を誰かが働かせたと思われ(この推定の根拠は別件で出てきたこれ)、ええと、なるほどですね?

結論として申し上げたいのは、官公庁が「委託先の問題」などと主張している新聞記事を読んで鼻の頭に皺が寄るようなことがあったら、調達情報や行政事業レビューシートを見に行く習慣をつけると面白いですよ。
ということでした。

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