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松濤「シャルマン」 ー上京者がまたひとつ 都を知れた日ー

渋谷という街はヤングなエネルギーに溢れていて、上京したての二十歳のころはとにかく渋谷に通った。行く、より「通う」と言った方がしっくりくる日常だった。

買い物に、お茶しに、特に目的はないけどいつもの順路で巡ってみたりしていたのは、今思うと駅からさほど離れていない店ばかりだ。
巨大都市渋谷の大きさを測り間違えていたし、駅周辺以外を散策する勇気もなかったのだ。

社会人になり、それとなく東京で暮らす者としての自信もついてきて、デパートやマルキューだけでなくセレクトショップにも行き出した頃、道玄坂を登り切るタイミングが来た。 三軒茶屋に住み出した私は、坂を上がり切り246をひたすら歩いて帰っていた。

その時に探訪したのが道玄坂をあがりきった左にあるシャルマンだ。

カウンターに女性が1人。ホールには恐らくご出身がインドであろう女性が1人。
客層は老夫婦から打合せ中のおじさん、タトゥーびっしりのミュージシャンまで幅広い。

冷コーのバランスがいい。
普段使わないミルクを思わず入れてしまうほどの、小オボンを使った配置や個々の風合いが落ち着く。

この銅製の器を見てるだけでも 冷コーヒーが飲みたくなるな、なんて思いながら、

狭めの店内でサラッと飲み干して、また一つ大人になれた気がした。

テーブルには、藻を育てる装置が置いてあった。

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