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技能実習生は優しくて賢いお母さん達だったという話 その2

つづき


それまで実習生だけだったチームに1人加わることになった私に、彼女たちは何かと話しかけてくれた。

Aさんは、初日から私の名前(難読&覚えにくい)を呼んでくれ、目にも止まらぬ速さで自分の仕事をこなしつつ、私の仕事もチェックして、できてないところはアドバイスをくれ、「トイレ大丈夫?」とたびたび聞いてくれた。

Bさんは 会うといつもニコッとしてくれ、Cさんは「○○さん(私の名前)、大変ですね。私たち日本語上手じゃないから😅」と話しかけてくれた。

Dさんは、仕事と関係ないことでもガンガン話しかけてくれ、私が仕事を覚える度に(レベルアップする度に)褒め称えてくれる。

お互い歳が近くて 、子育て中という共通点もあって、すぐに打ち解けることができた (と、勝手に思っている) 。


彼女たちの言語はよく歌に例えられるが、彼女たちはいつも(毎分毎秒)喋っており、そのいきいきとしたお喋りをBGMとして聴きながら、私は仕事している。
よくそんなに話すことがあるなと感心する一方で、黒人奴隷の人々が歌いながら労働していたという話を思い出し、このお喋りは彼女たちの労働歌の代わりなのかなと思ったりもする。(喋りながらも手は超高速で動いている。)


また、私はとにかく忘れっぽいのだが、彼女たちはいつも私に声かけをして思い出させてくれる。
他にも、2人目 3人目と日本人がチームに入ってきたとき、私が "一度教えたから覚えただろう" "あまりついて回られるのも嫌だろう"  と新人に一人で仕事をさせていると、「一緒に(行ってあげて)」と声かけされ、後から追いかけていくと新人が困っていた、ということもあった。(そういえば私が新入りだったときも、2回目3回目くらいまで誰かが一緒について来てくれていた。)


彼女たちはときどき「眠い」と言っている。

私は、このような無茶な働き方を年単位でしている彼女たちを見ていると、帰国したあと身体を壊してしまうのではないかと心配になる。

一度、彼女たちの労働時間が長すぎる(&休日が少ない)ことについて、Dさんに労基法を見せながら「大丈夫?」と尋ねたことがあるが、「だいじょうぶ( ´ v `;)」「休み多い(と)、お金少ない(から)」と言っていた。

あるときは、Aさんが「今月休み多い」と言うので、「何日?」と訊ねると、「4日」と言っていた。


そんな中、実習期間を終えて帰国するはずの数名が、帰国できない事態になった。



その3に続く