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61 女と嘘と借金と暴力

さかのぼることあのストーカー事件の前後。夫に借金があることが判明して、もう一つの事件となったことがあった。

「女」「借金」「暴力」がなければだいたい誰と結婚してもそれなりに幸せになれるだろうと踏んでいたわたしだったが、見事に二つが該当する人間と結婚してしまったのだ。

目の前が真っ暗になりながらも、わたしは離婚を選択せずに前へ進んでしまった。長男が5ヶ月のときである。

あれから7年。

夫婦で財布は別、生活費はおおむね折半、お互いの貯金額などは探らない。ただ子どもの口座は互いに見ることができる、という家計であった。

わたしに財布を握らせてはくれず、将来に向けたお金の話をとことん嫌う夫。前妻との間の子どもの養育費の話はとくに、苦虫を潰した顔で突っぱねられた。

高校生と大学生と既に大きい二人の子供たち。その二人への養育費については、長男誕生ととも減額を申し出た。

「公証役場を通して前妻と話しているから時間がかかっている」

のらりくらりと一向に減額の話が進まなかった。半年後ようやく「十二万から六万に減額した」と伝えられた。

その言葉を信じたわたしが馬鹿だった。

少し調べさえすれば、公正証書の内容変更は前妻と2人で行い、公証役場が弁護士のように中立ちすることは決してないのだ。つまり養育費の減額申請は嘘だったのだ。

減額の金額が嘘なのか、それともそもそもの養育費が嘘なのかこの時点では知る術はなかった。

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