寄生して生きる人
わたしが結婚したのは人間の姿をした寄生虫だったのだろう。
社会的な体裁のためにだけ据えられた妻、そして子どもたち。わたしたちは利用され、捨てられることもなくただ寄生され続けられるところだった。
あやうい状況から奇跡の脱出劇を経て、今がある。
本命の不倫相手とは離婚の手続き前は連絡を断つよう文書に起して従わせた。その証拠に律儀な不倫相手から、やりとりをしていたアプリをアプリごと消したこと、LINEもやめたことを聞かされた。
どのみち社内でつながるだろうから、わたしは話半分に受け止めた。
寄生虫はきっとに次の寄生先を必死に探すだろうから。そしてその寄生先は本命以外に考えられないから。
出張先から家の敷居を跨がせず、しばらくウィークリーマンションで過ごした元夫。わたしの読みどおり、そのあとに契約を結んだマンションは本命の家のすぐそばであった。
しかし、わたしが懇切丁寧に算出した家賃の上限を遥かに上回るマンションときた。これでは慰謝料はおろか養育費さえ賄えない。
すぐさま元夫に尋ねた。すると想像を超えた答えが返ってきた。
「契約がきちんと成立したら伝えようとおもっていたんだか、本命と一緒に住むことにした。彼女のマンションの更新時期だったし、彼女の部屋は2人で住むには狭いから。一緒に暮らせば光熱費とか節約できるし」
2人で暮らすことに驚いたのではない。2人はこれからわたしと子どもたちに毎月支払いをしていく。なにも2人で暮らすなら都心の一等地でなくてもいいだろう。バカなのか??と稚拙な言葉が出そうになった。
リモートワークがほとんどの中でそれでも「通勤しやすい」とか「引越し費用が浮く」とか色んな理由を挙げ連ね、空いた口が塞がらなかった。
子どもにどう思われるかとか、子どもと面会してそのあとお泊りになるパターンとか、そういうものは一切頭にないんだと、改めて自分本位な生き方に別れてよかったと痛感した。
加害者である本命は、ここで正式な被害者、そして新たな寄生先に認定されたわけだ。
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