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34 そしてわたしは人生最大のミスを犯す

「何を知ってるっていうの?こんな大切な話をしてしていて"じきに分かる"ってなに?いいから言って」

おもむろに自分の携帯を触り、何かを検索している夫。そして画面を私に向けた夫が言った。

「これお前が書いたんだろ?」

突きつけらた画面はなんと、わたしが裏アカウントでこの不倫騒動について書いているInstagramのアカウントであった。

その瞬間、わたしは凍りついた。人生で初めて本当に本当に凍りついた。

やってしまった。
人生最大のミスを犯してしまった。

心のやり場と自分の頭の整理のため、発露の一つとして書き記したInstagramを一番見られてはならない相手に見られてしまったのだ。

わたしはこの混沌のなかでInstagramを非公開にするのを忘れていた。フォロワーもおらず、いいね!もついていなかったことですっかり抜け落ちていたのだ。

そんなアカウントが夫の目になぜかとまり読まれてしまったのだ。

自分の弱さを知られた恥ずかしさと、手の内をみすみすさらけ出す凡ミス。

唯一の救いは、記載した内容は事実とはいえ時間にズレがあったこと。今日この時点では最初の探偵を雇う決心をしたところでInstagramは止まっている。

わたしはシラを切るつもりだった。

「ちょっと貸して」夫の携帯を受け取ったわたしの手はしかし今までで一番震えていた。

「これ、わたしが書いたってなんで思うの?」
「手が震えてるじゃん、それが何よりの証拠だろ」

鬼の首を取ったかのような顔で夫は続けた。

「たまたまインスタを見てたらあがってきて読んだら、なんか俺のことかと思った。確信はなかったけど、いまお前が話したnaomiのLINEを見つけた経緯と酷似している。だからいま確信した。これお前が書いたんだよな?」

何も言えなかった。ここからどうしたらいいのか思考が止まりそうになっていた。さらに追い討ちをかけるように夫は言った。

「Instagramに探偵を雇ったと書いてあったから、申し訳ないが俺はいろいろ探させてもらったよ。今日、家で探偵と結んだ契約書をみつけた。しかも2箇所の探偵事務所と契約を結んでるよな?どういうことだ?」

わたしの背筋は凍りついた。

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