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二代目店長、たかぶ~です

はじめまして。このたび、豆腐さんから学問バーKisiの店長を引き継ぎ、二代目店長となります、たかぶ~(高原智史)です。

2023年1月にオープンしました学問バーKisi、僕は2月に日替わりバーテンダーとして明治期の「煩悶青年」の話をして、その後、研究って役に立たないといけないの?という話をしたり、他の方とタッグを組んで、研究とは?、SNS、酒、映画、歴史教科書といった話題で日替わりバーテンダーをしました。

このたび豆腐さんが独立をされるということで後任の店長が募集され、僕自身、以下述べるように、延々と学生生活を続けていたのですが、いよいよ働かなくてはなあと就職活動を始めていたので、これに応募して、二代目店長として務めさせていただくことになりました。

自己紹介をいたしますと、店長になります2024年4月からは、大学19年目となる大学院生です。
大学に入ったのが2006(平成18)年。東京大学教養学部文科Ⅰ類に入学し、法学部へ進んで、将来は霞ヶ関で官僚になりたいとの志を抱いていました。
しかし官僚に採用されず、4年で法学部をいったん卒業したものの、進路なし。留年しとけばいいわけですが、学士入学というルートの存在を知っており、留年よりは再入学して二回卒業した方がなんかお得じゃん?と、浅はかな考えで、法学部に入り直しました。
しかしまた官僚にはなれず。再度の学士入学。法学部には一類(私法コース)、二類(公法コース)、三類(政治コース)とありますが、8年がかりでそのすべてを卒業してしまい、もう帰る場所がなく。ならばと、東大法学部を経て官僚になりたいというかつての自分の立身出世志向について、その源流であろう明治期の学生に照らして考えてみようということで、大学院に進みました。

とはいったものの、テーマがうろうろしてしまって、本郷から駒場の総合文化研究科というところに移ったので、かつて駒場にあった第一高等学校についてやろうということはそれなりに早く決まったのですが、スポーツなんかこれまでほとんど縁がなかったのに、彼らのスポーツ、身体観についてやろうとかやり始めて、最終的には、「運動」なんかとからめて一高生がやたら論じていた「元気」という概念を思想史的にやるということで終えました。結局、修士は年限ぎりぎりの5年かかりました。ここまでで大学13年。

博士に入ってからは、できたての東京大学東アジア藝文書院(EAA)という組織で、ちょうど一高プロジェクトというのが始まり、そこに入れてもらい、調査研究をして、博物館等での展示を準備したり、果ては、一高を研究している現在の東大院生(つまりモデルは僕??)が主人公というような映画を制作したりしました。

D2になった2020年の春頃から、ご承知の通りコロナ禍となり、これまでとにかく大学に行って、学生室の主と化してずっと屯してはそこで一応研究するというスタイルが取れなくなりました。
2022年の夏、コロナも幾分落ち着き、ずっと家にいるのもなあ、地元に行きつけを作りたいなあと思って、バー通いを始めました。すぐにはまってしまい、お店が主催したアマチュアのカクテルコンペで優勝したり、酒税についてレクチャーをしたりと、バー活を楽しんでいました。

2023年に入り、学問バーKisiのことも聞きつけて、というのは最初に書きました通りです。それから一年、学問バーKisiには随分と楽しませていただいておりましたが、今度ついに店長をやらせていただく、ということになります。
たぶん、今のまま博士論文が書けても、大学に教員として就職するのは難しいだろうと思っていて、学術的なバーなり喫茶店なりを自分で開いてみたいというのは前々から思っていたところでしたので、いいところに収まったなと思うこと頻りです。

「知の配電盤」になりたいと常々周囲に言っておりますが、「発電機」としての研究者としてはおそらく芽が出ないであろうところ、博士までいった研究者として、研究ということ自体がプロとして理解でき、それをかみ砕いて社会に浸透させていきたいと思っています。

研究内容自体についてもそうですが、研究者という生き方をもう少し、世に認めてもらいたいと思います。大学院まで行っている人は、コミュニケーションに難がある場合が多いなどとよく言われますが、そういう社会からの認識が改められるよう、研究者“でも”、いくらでも面白いコミュニケーションができるぞ!ということを学問バーでの活動を通じて、広めていきたいです。

という風に、学問バーを通じて、社会にこういう風に働きかけていきたいということはあるのですが、それよりまず、自分自身が楽しめるようなお店作りがしたいです。述べたように私は官僚志望でしたが、「このようにお役に立ちます!」という風にやるとだいたいすべり、むしろ興味の赴くまま好き放題やっていると、それについて面白がってもらえるようなので、むしろそういう姿勢で、皆で楽しんでいけるといいなと思っています。

新生学問バーKisi、ご期待ください!

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