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中学1年「撮れなかった1枚の写真」【よりよく生きる喜び】の指導案はこうする!

こんにちは。
今日は
中学1年「撮れなかった1枚の写真」【よりよく生きる喜び】の指導案はこうする!
このテーマで教材解説をします。

「よりよく生きる喜び」
この内容項目は難しいんですよね~。
小学校では5・6年(高学年)にしかない内容で、
教材も1つか2つしかない。
授業をした後で、
「結局、なんだったの?」と
手ごたえなしで終わることが多いですよね。
今日はこの難しい内容項目を解説します!

では、解説です!

1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ

順番に解説します。


1 教材について

D 主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること
「よりよく生きる喜び」
目標・・・・・人間には自らの弱さや醜さを克服する強さや気高く生きようとする心があることを理解し、人間として生きることに喜びを見いだすこと。

「撮れなかった1枚の写真」(光村図書)
吉田ルイ子さんは、ジャーナリズムを学ぶため、渡米した。
アメリカでは、アフリカ系アメリカ人を中心とした住宅地、商業地である、ニューヨークのハーレム地区のアパートに住んだ。
ハーレム地区は危険な街として知られていた。

1974年12月(ベトナム戦争中)、私は、ベトナムを縦断している国道1号線に立っていた。
国道にも、北部から避難してくる人々が溢れていた。

私は人々の群れの中に、1組の母と子の姿を見つけた。
私は「絵になる」という映像に関わる人間特有の直感で、シャッターに手をかけた。

と、その瞬間、母親は、赤ん坊の顔を手で覆った。
こどもには、おできだらけの子供の顔と、赤ん坊の肌には傷の後、ひきつった母親の首筋があった。

私は、シャッターを押せなかった。

私は、撮りたかったのに撮れなかったことを、プロのジャーナリストとして呵責に悩まされた。

その後、私は感じた。あの写真は撮らなくてよかった。

私は、プロのフォトジャーナリストである前に、私は一人の普通の人間でありたい。

2 内容項目と教材

(1)内容項目について

「よりよく生きる喜び」という内容項目は、
新学習指導要領になって初めて加えられました。
つまり、それほど実践が世の中にありません。
授業づくりに困っている先生は実は多いのではないでしょうか。

内容項目の目標をもう1度確認してみます。
①よりよく生きようとする人間の強さや気高さを理解し、
②人間として生きる喜びを感じること

①では、偉人や人として模範となる人について考えること、と言っています。
何について考えるのか。

それは強さと気高さです。

これは、どちらも心のことを指します。
心の強さとは、人によって定義が異なることでしょう。
つらいことにも負けない精神的な強さ。
優しさを発揮することで第三者に伝わる強さ。
いずれにしても、心の強さは人から教え込まれるのではなく、子どもが自分で気づくことが大切です。

気高さも同じです。
気高いと聞いて思い浮かぶ人物は誰ですか?
私は、
ドラゴンボールのベジータ・ピッコロ
ワンピースのゾロ
などが思い浮かびます。

自らの考えを大切にし、決して他人には強制をしないが、
自分自身には徹底して厳しく在り続ける。
そんなところでしょうか。
「プライドと誇りを兼ね備えている」と言ってもでしょう。

ベジータ、ピッコロ、ゾロなどは極端な例ですが、
誰しも心の強さと気高さをもっています。
そのような、人が本来もっている心の本質について、
教材で出てくる人を扱いながら、自分の心にも似たものがある
と気づくことが、この内容項目では大切なのです。

それが、②人間として生きる喜びを感じることにつながります。
困難にぶつかっても、人の助けや得意なことがあって、
再び頑張ろうと思えることがあります。

自分で見つけた道を突き進むと、
つらいこともありますが、
やってよかったと思えることも多いですよね。

「成長したい」という気持ちは、人間が本来もっているものです。
その成長欲を満たしたとき、人は「生きててよかった」と思えるのです。

これは、欲しいものを手に入れたとか、
好きなものを食べることができた、
という短期的で一時的なものではありません。

長い時間をかけて、努力が実り、
成長が成就したと感じられるほどの
努力を注ぎ込んだときに、
「生きててよかった」と思えるのです。

おいしいものを食べたときに
「生きててよかった」とおいしさを表現するシーンがありますが、
あれはただの誇張表現です。
道徳的に考えると、本質とは異なります。

と、「よりよく生きる喜び」だけでもこれだけ説明が長くなります。

結局、どうやったらいいの?
はい、前置きが長くなりました。

結論を言います。
教科書の偉人について「〇〇さんはすごいなあ。」と
自分とは別次元という感想をもたないような授業を心がけましょう。

また、「生きる喜び」は人それぞれちがう、ということも押さえましょう。

Aさんがこれに心を打たれるから、BさんもCさんも同じようにそれを生きがいにする、という話ではないのです。

生きがいを見つけるのではなく、
「生きがい」があると、生きててよかったと心から思える。

そんな心の動きを議論できるようにしましょう。

偉人だろうと、有名人だろうと、同じ人間です。
成長したい欲もあるし、挑戦するときの恐怖もあります。
教材ではよい部分だけをピックアップして描かれていますが、
書かれていない裏の部分を発問で突いて、考える機会を設けることが、
内容項目に迫ることにつながります。

では、教材を見てみます。

吉田さんは、気高いでしょうか?
顔を書くした母親は、気高いでしょうか?

子どもたちと考えてみたいですね。

また、なぜ吉田さんは
「あの瞬間は撮らなくてよかった」と思ったのか。

撮れた時の感情と、
撮れなかった感情を比べてみたいですね。

3 導入

T:教師 C:子ども

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