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6年「iPS細胞の向こうに」【努力と強い意志】の指導案はこうする!

こんにちは。
今日は『6年「iPS細胞の向こうに」【努力と強い意志】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。

希望をもつ。
勇気がわいてくる。
努力は裏切らない。
などなど、
今日の内容項目を扱った
名言は世の中にたくさんあります。

ということは、
そこに道徳的要素がたくさん詰まっている!
ということですね。

でも、
希望と勇気の関係って?
努力と強い意志はどうちがう?
と聞かれると、
改めて考えたことはないので、
「うーん・・・」となると思います。

今日は、「希望と勇気、努力と強い意志」について
じっくり考えていきましょう!

では、解説です!

1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ

順番に解説します。

1 教材について

A 主として自分自身に関すること
「希望と勇気、努力と強い意志」
5・6年の目標・・・・
より高い目標を立て、希望と勇気をもち、困難があってもくじけずに努力して物事をやり抜くこと。

6年生「iPS細胞の向こうに」(日本文教出版)

あらすじ
2012年、ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥さん。
ヒトの体を作る細胞のもととなる多能性幹細胞(iPS細胞)をつくろうと考えました。
これまでだれも成功できず、不可能だと言われていました。それを簡単な方法で可能にしたのが、山中さんなのです。

山中さんはもともと医者を目指していましたが、人よりも手術に時間がかかったり、うまくいかないことが多く、「向いていないのではないか。」と思うようになりました。
また、もっと病気やケガを根本から治したいとアメリカへ留学しました。日本に帰ってからも研究を続けましたが、なかなか認められず、あきらめそうになりました。
しかし、頭の中に、今も重い病気やけがで苦しんでいる人の姿が浮かびました。
山中さんは研究を続け、ついに2007年、ヒトのiPS細胞づくりに成功し、発表しました。

山中さんは、中学2年生の時に自由研究に次のように書いています。
「この研究は、実験という点において成功である。しかし、かならずしも成功=完成ではない。さらに研究を発展させていきたいと思う。」

2 内容項目と教材

これはそれぞれ前半と後半でペアを作って理解しましょう。
つまり、「希望と勇気」で1セット、「努力と強い意志」で1セットです。

まずは「希望と勇気」について解説します。
人が希望をもつ時というのは、どんな時でしょうか。
☆プロ野球選手になりたい
☆いつまでも元気に生きたい
などが、希望の例としてあげられます。

では、勇気をもつ時というのはどんな時でしょうか。
☆勇気を出して好きな人に声をかける。
☆勇気を出して試験に挑戦する。
つまり勇気とは、何かしらの目標に向かう強い気持ちと言えます。

勇気はゴールがあるから発揮できるのです。
そのゴール地点や付近のことを、希望と呼ぶのです。

希望があるから勇気がでる。
希望のない勇気は、ただなりふりかまわず勢いで行動しているだけです。
それは、道徳的価値が高い行動とは言えません。

続いて、「努力と強い意志」です。
これは「希望と勇気」によく似ています。
努力をしている時はたいてい、
目標に向かって頑張っていることのことを指すはずです。

時々、このような言葉を聞きます。
「あの人は努力家だ。」
仮にその人が努力家だったとしましょう。

それはいつの時点でそう言えるのでしょうか。
1回の頑張り? 1週間続けたら努力家?

「いやいや、1年は最低続けないと,努力したとは言えないでしょ。」
と言う人もいるでしょう。

努力の内容によりますので一概には言えませんが、共通しているのは、
『短い期間だけ頑張っても、それは「努力」をしているとは言えない。』
ということです。

努力とは長い期間頑張ることを指します。
その長い期間、気持ちが折れることなく、
頑張り続けることができたのはなぜでしょうか。

自分自身が「目標を絶対に達成するぞ。」と思っていたからでしょう。
つまり、努力とは強い意志によって支えられるものなのです。

このように、「希望と勇気」、「努力と強い意志」はそれぞれ1セットなのです。

教材研究では、
①「希望と勇気」か「努力と強い意志」か、どちらが重点の教材か見極める。
②仮に「希望と勇気」だとしたら、
『希望』はどの人のどの心か、『勇気』はどの人のどの心なのかを考える。
(※「努力と強い意志」でも同じ)
③『希望』『勇気』それぞれについて発問を考える。
という流れに沿って行うと、本質を捉えた授業ができます。


では、今回の教材「iPS細胞の向こうに」はどうでしょうか。
これは「努力と強い意志」が重点で間違いなさそうですね。


山中さんは長い間努力をしました。
誰が見ても、「一時期の努力」ではなく、「長い時間の努力」でしょう。
そしてその努力を支えるのは、「病気やケガの人を根本から治す」という強い意志なのです。

山中さんは、何度もくじけそうになっています。

・医者としてうまくいかなかった。
・研究がなかなか認められず、くじけそうになった。
・ノーベル賞を受賞しても、山中さんの描く理想(iPS細胞の実用化)にはまだハードルがたくさんある。

さらに余談ですが、iPS細胞研究所は、国から十分な予算が下りないため、研究が満足にできないことから、山中先生自身が、地域に出向いて寄付を募っているそうです。

こういった苦労を聞くと、一人の人間として本当に頭が下がりますよね。

この教材は山中さんにだけ焦点を当てて書かれていますが、視点を変えて見ると、また新しい気付きが生まれます。

・iPS細胞で重い病気が完治した未来の患者さん
・山中さんを邪魔者扱いした医者の仲間
・iPS細胞(もししゃべれるとしたら)

視点を変えて、これらの人が「山中さんになんというだろう。」という発問は、思考の幅が広がりそうですね。

「視点を限定しない」は授業展開と発問を考える上で基本中の基本です!
『発問の視点は1つに絞りなさい』と指導する人がいたら、
それは古い道徳ですので、無視して構いません。

このような偉人の作品は、とにかく自分事として考えることが難しいです。
遠いところの遠い世界の、すごい人の出来事だ
という思いから抜け出せないことが、いつも課題としてあがります。

それを防ぐために、教科書に書かれていないことを考えたり、
批判的な思考を促したりする、という方法があります。
いずれも、発問によって促せます。

視点を変えたり、当たり前をひっくり返す発問で、子どもの思考を活性化させていきましょう!

3 導入

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