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6年「ぬくもり」【個性の伸長】の指導案はこうする!

こんにちは。
今日は『6年「ぬくもり」【個性の伸長】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。

個性の時代と呼ばれるようになりました。

昔に比べて今の時代の子どもは、本当に個性豊かです。
では、個性とはなんでしょうか。
個性はどうやって見つければいいのでしょうか。

今日は、『個性』について教材解説で考えていきましょう!

では、解説です!

1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ

順番に解説します。

1 教材について

A 主として自分自身に関すること
「個性の伸長」
5・6年の目標・・・・自分の特徴を知って、短所を改め長所を伸ばすこと。

6年生「ぬくもり」(光村図書)

あらすじ
小春はクラスの係を決める時に自分から手を挙げたことがなかった。今も、誰もやりたがらなかった掲示係をやっている。
ある日、生き物係の葉月が「手伝ってくれるかな。」と声をかけてきた。
小春は手伝いながら葉月と話した。
・生き物係になりたい人はいる。
・でも、ふんの始末やくさいのがイヤという人が多い。
・来月、葉月が転校すること。
・小春はいつも掲示板をきれいにはっているし、任された仕事をきちんと最後までする人で、すごいなって思っていたこと。
・そんな小春に生き物係を引き継いでほしいこと。

小春は、自分では当たり前のことをしただけだったのに、まっすぐにほめられてうれしかった。

次の日、先生が葉月の転校を発表した。
小春は、生き物係に係を移る役に手を挙げて立候補をした。
葉月がうれしそうにうなずいた。

2 内容項目と教材

目標にある「特徴」とは別に、「特長」があります。
そのちがいは次のとおりです。

特徴・・・他と比べて特に目立ったり、他との区別に役立ったりする点。
特長・・・すぐれた(=長)特徴。

つまり、特長は長所に特化しているのに対して、特徴は長所も短所も含んでいるということです。
自分の長所は、自分ではなかなか気付かないものです。

この「特徴」と「特長」のちがいを押さえた上で、授業を構成しましょう。

教材を見てみます。
小春は、引っ込み思案で、係を決めるときに手を挙げたことがありませんでした。
・やりたい係がなかったから。
・責任をもちます、と言っているようで自信がなかったから。
と後ろ向きな理由が並んでいます。

では、ここで発問が1つ出てきます。
「後ろ向きな理由で係に立候補しない小春は、悪い子なのでしょうか?」

どう思いますか?
授業者が考えをもった上で、子どもたちと考えてみたいですね。

また、葉月はそんな小春を見て、生き物係にいわば推薦をします。
小春は、葉月に自分を評価されてうれしくなります。
そして、ついに勇気を出して生き物係の役に初めて手を挙げて立候補をします。

物語として読むと、とてもいい話ですね。
しかし、教材として考えると、必ずしも「いい話」とは言えません。
あえて批判的な思考で読むことで、子どもが考える切り口や糸口を見つけることができるのです。

では、仮にこのように考えてみましょう。
「葉月が小春のよさを見つけた」という前提がもしもちがったらどうでしょう。

・葉月は、小春ならみんな嫌がる生き物係に推薦しても、断らないと思った。
・実は、葉月はもう何人にも断られていて、小春には10番目に声をかけていた。
・生き物係のみんなと話し合って、「小春に押しつけよう」という結論になったから声をかけた。

かなりブラックな要素が強い視点です。

視点をあえて真面目路線から振り切ることで、新しい視点の発問が生まれます。
そんな振り切った視点から出た発問は、子どもの思考を活性化させます。

では、どんな発問が考えられるでしょうか。

・「葉月は、小春なら断らないだろうと思って、『小春はすごい』とうそをついて誘ったのではないか。」
・「葉月は、何人にも断られ続けていて、小春に断られると困るから、『すごい』とうそをついて誘ったのではないか。」
・「葉月は、小春に生き物係を押し付けたのではないだろうか。」

このような発問が考えられます。
子どもはどんなことを言ってくるでしょうね。
聞いてみたくなりませんか?

また、さらに視点を変えてみましょう。

今度は「小春目線」です。

小春は、葉月に自分のよさをほめられて、うれしくなります。
しかし、本当は「係の仕事をきちんとする」は小春のよさではなかったらどうでしょうか。

・掲示物をきれいにはる
・そうじをすみの方まできれいにはく
・任された仕事を最後までする

これらの小春の姿は実は、

・(みんなに文句を言われたくないから、やりたくないけど)掲示物をきれいにはる
・(あとでやりなおしがイヤだから、きたないのはいやだけど)そうじをすみの方まできれいにはく
・(どうせやりたい仕事はないんだし、怒られるのもイヤだから、最低限、自分の仕事だけはやろうと思って)任された仕事を最後までする

というものだったらどうでしょう。

小春のよさは、「やらされてやっている」可能性があるというわけです。

教材に書かれていないので真実はわかりません。
本当に葉月が小春のよさを見つけて、小春が自分のよさを発見したのかもしれません。
しかし反対に、小春の得意でも不得意でもないところを、「長所」と勝手に葉月が判断したのかもしれません。

小春が生き物係に手を挙げたのは、葉月におだてられたからかもしれません。
小春は、本当にやりたい係は、新聞係だったかもしれません。

つまり、『葉月が小春の長所を見つけてよかったね。』という結論では不十分だということです。

このことから、
・長所は自分では気づかない。
・長所は自分ではなく人が気づいてくれるもの。
・長所は、自分では長所と思っていないかもしれない。
という結論が出ます。

また、どんな見方で教材を見たとしても変わらないものがあります。
それは「小春は葉月によって自分の新しい面を発見した」ということです。

小春が生き物係に推薦されたことは、いいか悪いか、やりたいかやりたくないかは別にして、自分の新しい面を葉月に発見してもらったこととイコールであることには変わりません。

小春はそこから、生き物係をやるチャンスを得ました。
ひょっとすると生き物係はやったことがないだけで、自分にぴったり合っているかもしれません。
反対に、とても苦手で全然向いていないかもしれません。

でも、「やってみる」というチャンスと勇気を葉月がくれたのです。

人の長所というのは、この教材が象徴的なもので、「人からほめられて気づく」ものです。
きっと大人ならだれしも、「1度は人にほめられたこと」を頑張った経験があることでしょう。

自分は主観的にしか見れません。
でも人のことは客観的に見ることができます。

同じように、人は自分のことを客観的に見ているので、自分の気づかない長所や短所を発見してくれるのです。

発見しても、伝えるか伝えないかはその人次第だし、長所だと教えられて伸ばそうとするか伸ばさないかも、自分次第です。

しかし、「人によって新しい自分を発見する」ということは、いつも日常生活で起こっているのです。
ここが、「個性の伸長」の本質です。

人に本当のことを言われて、怒ることもできるし、受け止めて考えることもできる。
自分を素直に見つめて改善することもできる。

今回の教材「ぬくもり」の小春は、「チャレンジする」という選択をしたのです。
だから、いい話のように見えるんですね。

でも最初に言ったとおり、これは物語ではなく教材です。
批判的な見方をして、裏を読んでいきましょう。

3 導入

T:教師 C:子ども

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