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3年「ヌチヌグスージー命の祭り」【生命の尊さ】の指導案はこうする!

こんにちは。
今日は『3年「ヌチヌグスージー命の祭り」【生命の尊さ】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。

『生命の尊さ』は、今回の指導要領改定の目玉の1つで、
重点項目として扱われている教科書が多いです。
背景には道徳の教科化のもとになった
「いじめの問題」があります。

この『生命の尊さ』をとおして、
自分だけでなく、
身近な人や自然の命の尊さについて
深く考える経験をさせたいですね。

では、解説です!

1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ

順番に解説します。

1 教材について

D 主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること
「生命の尊さ」
3・4年の目標・・・・生命の尊さを知り、生命あるものを大切にすること。

3年生「ヌチヌグスージ」(光村図書)

あらすじ
沖縄にきたばかりのコウちゃんは、島のオバアにたずねました。
「みんなで何しているの?」
「わたしたちに命をくれた、大事なご先祖様のお墓参りさあ。」
島では春になると、親戚中が集まって、ご先祖様に「ありがとう」を伝えるのです。

「ぼうやに命をくれた人はだれねえ?」
「お父さんとお母さん」
「命をくれた人をご先祖様と言うんだよ。お父さんとお母さんに命をくれた人もご先祖様。」

ぼくは、おじいちゃん・おばあちゃん、ひいじいちゃん・ひいばあちゃん、・・・・ご先祖様を数えてみると・・・もう数え切れなかった。
「ぼくのご先祖様って千人ぐらい? 百万人ぐらい?」
「命は続いてきたからねえ。誰が欠けてもぼうやは生まれてこなかった。ぼうやの命は、ご先祖様の命でもあるわけさあね。」

ぼくは空に向かって、ご先祖様に届くように言った。
「命をありがとう!」

2 内容項目と教材

Dの視点は無理に言葉にしない

Dの内容項目のポイントは、「無理に言葉にしない」こと。
Dは「感動」「生命の尊さ」「自然愛護」と、抽象的なものばかりです。

無理に言葉にしても、安っぽいものだったり浅い言葉になったりしてしまいます。

だから、まとめのときには、無理に言葉にする必要はありません。

それよりも、すでに知っていることについての理解を深めるようにしましょう。

今回の内容項目「生命の尊さ」の場合、
「命は大事」ということはすでに子どもは知っていることです。
しかし、議論をすることで新たな視点に気付くことで、
「だから、命は大切なんだ」と気付けるようにすることが大切です。

すでにある理解という道を太くするというイメージで授業を組み立てましょう。

過去から今に命はつながっている

「自分という命は、何百万人のご先祖様とつながっている」
このメッセージが存分に伝わる定番教材ですね。

絵本も出ています。
絵本は折込ページを広げて見ることができます。
とても長い命のつながりを実感できるように工夫されているので、
学校の図書館にあれば、活用しましょう。

また、板書は命がつながっていることを実感できるように、
自分からたくさんのご先祖様がつながっているように書きましょう。

そこから議論の始まりです。

例えば、どこかのご先祖様の命がなかったら、
それ以降の命がはもう途絶えてしまいます。

仮に1人のご先祖様を板書から消してみましょう。
その後に生まれるはずだった命が、次々と消えてしまいます。

そしてついに「自分」も消えてしまいます。

「ぼうやの命は、ご先祖様の命でもある」と本文に書かれています。
この言葉を、このようにして視覚的に理解することができます。

今から「未来」へもつながっている

この教材は、過去から今に焦点を当てて書かれています。

しかし、子どもたちと考えたい視点はこれだけでは足りません。
それは、「今から未来」へのつながりです。

「自分」には配偶者が現れたとすると、
子どもが生まれ、またその子どもが配偶者を見つけ、
また子どもが生まれ・・・・

と、未来もご先祖様と同じように未来永劫続いていきます。
また、配偶者は配偶者で、多くのご先祖様からつながれている命です。

過去から数多くのご先祖様とつながり、
未来へと数多くの子孫がつながる。

そう考えると、命はリレーそのものなのです。
今、自分の命が絶えるということは、
ご先祖様の命をまるごと絶やすことになるし、
これから生まれる未来の命も全て絶やすことになるのです。

自分の命は、決して自分だけのものではなく、
過去から未来へとつながる命のリレーをつないできた全員のものなのです。

未来まで視点を向けると、
「今、自分の命は大切なんだ」という意識が子どもに芽生えてくるはずです。

・命を粗末にしてはいけない
・命は大切
・命はかけがえのないもの
・命がなくなるとたくさんの人が悲しむ

こういったことは子どもはすでに知っています。
しかし、過去から未来へと命のつながりを実感した子どもは、
同じ言葉でも、自分の中に落ちる度合いが違います。
言葉を言葉として認識し、本当の理解へとつながるのです。

それが、最初にお伝えしたように
すでにある理解という道を太くするということなのです。

3 導入

T:教師 C:子ども

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