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中学3年「私の再出発」【希望と勇気、克己と強い意志】の指導案はこうする!

こんにちは。
今日は
中学3年「私の再出発」【希望と勇気、克己と強い意志】の指導案はこうする!
このテーマで教材解説をします。

「希望と勇気、努力と強い意志」は、4つ単語が並んでいますね。
①希望
②勇気
③克己
④(強い)意志
道徳っぽい言葉が並んでいます。
1つの教材で4つ全てを扱うことは不可能です。
教材には必ず、重点があります。
その重点がどれなのかを最初に考えることで、教材研究がスムーズにいきます。
多くの言葉が並ぶ内容項目は、『重点』を考えるようにしましょう!

今日の記事で考えていきましょう!

では、解説です!

1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ

順番に解説します。


1 教材について

A 主として自分自身に関すること
「希望と勇気、克己と強い意志」
目標・・・・・より高い目標を設定し、その達成を目指し、希望と勇気をもち、困難や失敗を乗り越えて着実にやり遂げること。

「私の再出発」(光村図書)

あらすじ
中学校の「夜間学級」は、午後5時半から始まる。
義務教育を終えられなかった15才以上の人を受け入れている。

東京都の第九中学校に78才で入学し、81才で卒業した見目律子さんの作文に次のように書かれている。

・子ども時代は戦争でほとんど勉強できず仕事をしていたこと。
・戦争が終わって、自分のすぐ下の代から制度が変わって新制中学がスタートして、自分は通えなかったこと。
・結婚して3人の子どもに恵まれ、63才まで働いて幸せだったが、自分のことが気になった。
・決心して役所に行って、夜間中学の存在を知った。
・60数年ぶりに机に向かったときは、ちょっと照れくさく、温かい場所だと実感。
・健康で学べる幸せを日々感じながら片道2時間をかけて通っている。

夜間中学を卒業し、定時制高校に入学。
見目さんの挑戦は続いている。

2 内容項目と教材

これはそれぞれ前半と後半でペアを作って理解しましょう。
つまり、「希望と勇気」で1セット、「克己と強い意志」で1セットです。

まずは「希望と勇気」について解説します。
人が希望をもつ時というのは、どんな時でしょうか。
☆プロ野球選手になりたい
☆いつまでも元気に生きたい

などが、希望の例としてあげられます。

では、勇気をもつ時というのはどんな時でしょうか。
☆勇気を出して好きな人に声をかける。
☆勇気を出して試験に挑戦する。

つまり勇気とは、何かしらの目標に向かう強い気持ちと言えます。

勇気はゴールがあるから発揮できるのです。
そのゴール地点や付近のことを、希望と呼ぶのです。

希望があるから勇気がでる。
希望のない勇気は、ただなりふりかまわず勢いで行動しているだけです。
それは、道徳的価値が高い行動とは言えません。

続いて、「克己と強い意志」です。
これは「希望と勇気」によく似ています。
努力をしている時はたいてい、
目標に向かって頑張っていることのことを指すはずです。

時々、このような言葉を聞きます。
「あの人は努力家だ。」
仮にその人が努力家だったとしましょう。

それはいつの時点でそう言えるのでしょうか。
1回の頑張り? 1週間続けたら努力家?

「いやいや、1年は最低続けないと,努力したとは言えないでしょ。」
と言う人もいるでしょう。

努力の内容によりますので一概には言えませんが、共通しているのは、
『短い期間だけ頑張っても、それは「努力」をしているとは言えない。』
ということです。

努力とは長い期間頑張ることを指します。
その長い期間、気持ちが折れることなく、
頑張り続けることができたのはなぜでしょうか。

自分自身が「目標を絶対に達成するぞ。」と思っていたからでしょう。
つまり、努力とは強い意志によって支えられるものなのです。

このように、「希望と勇気」、「克己と強い意志」はそれぞれ1セットなのです。

教材研究では、
①「希望と勇気」か「努力と強い意志」か、
 どちらが重点の教材か見極める。
②仮に「希望と勇気」だとしたら、
『希望』はどの人のどの心か、『勇気』はどの人のどの心なのかを考える。
(※「努力と強い意志」でも同じ)
③『希望』『勇気』それぞれについて発問を考える。
という流れに沿って行うと、本質を捉えた授業ができます。


では、今回の教材「私の再出発」はどうでしょうか。
これは「努力と強い意志」が重点で間違いなさそうですね。


見目さんは長い間努力をしました。
誰が見ても、「一時期の努力」ではなく、「長い時間の努力」でしょう。
そしてその努力を支えるのは、「もう一度学び直したい」という強い意志なのです。

見目さんは、何度も学びの機会を奪われました。

・子ども時代は戦争の影響で学べなかった。
・新制中学が自分の代には適用されなかった。
・子育てに忙しかった。

こういった苦労を聞くと、一人の人間として本当に頭が下がりますよね。

この教材は見目さんにだけ焦点を当てて書かれていますが、視点を変えて見ると、また新しい気付きが生まれます。

・見目さんが通った学校の先生・同級生
・見目さんの家族
・子どもの頃の見目さん

視点を変えて、これらの人が「見目さんになんというだろう。」という
発問は、思考の幅が広がりそうですね。

「視点を限定しない」は授業展開と発問を考える上で基本中の基本です!
『発問の視点は1つに絞りなさい』と指導する人がいたら、
それは古い道徳ですので、無視して構いません。

このようなすごい人の教材は、とにかく自分事として考えることが難しいです。
遠いところの遠い世界の、すごい人の出来事だ
という思いから抜け出せないことが、いつも課題としてあがります。

それを防ぐために、教科書に書かれていないことを考えたり、
批判的な思考を促したりする、という方法があります。
いずれも、発問によって促せます。

視点を変えたり、当たり前をひっくり返す発問で、
子どもの思考を活性化させていきましょう!

3 導入

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