6年「エルトゥールル号-友好のはじまり」【国際理解、国際親善】の指導案はこうする!
こんにちは。
6年「エルトゥールル号-友好のはじまり」【国際理解、国際親善】の指導案はこうする!
このテーマで教材解説をします。
国際理解、国際親善。
すでに言葉を聞いただけで拒否反応がでる
難しそうな項目ですね。
今日は結論を先に言います。
国同士の関係は、人同士の関係と同じなのです。
大切にされていると感じたら、人は大切にし返します
逆に、ぞんざいに扱われていると感じたら、さみしい感じがします。
人同士の関係と同じように国同士の関係を考えると、スッキリしますよ!
では、解説です!
1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ
順番に解説します。
1 教材について
D 主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること
「国際理解、国際親善」
5・6年の目標・・・・他国の人々や文化について理解し、日本人としての自覚をもって国際親善に努めること。
6年生「エルトゥールル号-友好のはじまり」(光村図書)
あらすじ
和歌山県にある紀伊大島で、広未は父と一緒に樫野埼灯台から
海を見ていました。
父はトルコの船「エルトゥールル号」の話を始めました。
1890年、この船は和歌山県で大きな台風にあい、
岩にぶつかって沈みかけました。
船員たちは泳いで灯台の近くに来ましたが、全身ずぶぬれでした。
灯台の人たちと村人たちは、彼らを助けるために、
食べ物や布団を分け与えました。
この時、たくさんの船員の命が助かりました。
父は、この出来事が日本とトルコの友情の始まりだったと説明しました。
トルコの人たちは今でもこの話を忘れず、日本では5年に一度、
エルトゥールル号の犠牲者を悼む祭りが行われています。
この悲しい事故が二つの国の絆を生み、
今でも続いているんだと父は言いました。
広未は、遠く離れた国の人々を思いやり、
その絆を大切にしようと思いました。
2 内容項目と教材
トルコと日本の友好関係を象徴する、有名な話ですね。
この話を知っている子どもも多いことでしょう。
トルコは親日家が多く、将来は日本に行きたいと思っている若者が多いそうです。
このエルトゥールル号のことも大きな理由になってそうですね。
前回の「東京オリンピック 国旗にこめられた思い」でも伝えたので繰り返しになりますが、国際理解、国際親善の結論は2つです。
①国同士の関係は、人同士の関係と同じ
②国が違っても、幸せになりたい気持ちは同じ
この2つを押さえておけば、まず授業の芯がぶれることはありません。
今回は①に焦点が当たっている教材です。
日本とトルコという国同士の関係ですが、人同士の関係と同じです。
日本人がトルコの人を助けて、トルコの人は日本人に恩返しをした。
日本人はさらにその恩をまたトルコの人に恩返しした。
さらにそれが続いて・・・・・
美しい関係ですね。
反対に、いがみ合って関係が悪化している国もあります。
どこの国とは言いませんが、「向こうが先に○○したんだから、制裁は当然だ。」などと、真っ当な理由をつけて、攻撃や非難を当たり前のようにする風潮があります。
尊重し合うと、よい関係。
いがみ合うと、悪い関係。
まるで、人間同士の関係ではないですか?
人間も同じように、親切にしてもらったり、助けてもらったらそれをなんとかして返してあげたくなるものです。
これを『返報性の法則』と呼びます。
反対に、悪口を言われたり攻撃をされたら、その人を避けたり攻撃をやり返したりします。
これも、悪い意味で『返報性の法則』です。
このように、国同士の関係は、人同士の関係と同じなのです。
つまり、「親切、思いやり」と本質的に同じことが、今回の学習では言えるのです。
「親切、思いやり」の学習を振り返って、今回の日本とトルコの関係と同じことが言えるまとめがあれば、子どもに聞いて引っ張り出してもいいですね。
内容項目を越えて、学習がつながる瞬間です。
「やられたらやり返す」は今年再び話題になった言葉です。
今回の学習でも、そして悪い意味でも使える言葉です。
板書では、日本とトルコを擬人化させて、日本くんとトルコくんが互いに親切にしているように矢印で結ぶと、「親切、思いやり」とつながっていることが視覚的にわかります。
その両者の関係を支えているのは、次のことです。
・相手を大切に思う心。
・されたことに対して恩返しをしたい心。
・相手に大切にされていると感じると、その相手が自分をいっそう大切に思う心。
このあたりがまとめの言葉で出てくると、授業がしまりますね!
こういった歴史が題材の教材は、あまり具体的事実に深入りしないことをオススメします。
歴史的事実を確認したり学ぶのは社会の領域です。
道徳は、この両国の関係をつくる「心」は何かを考える教科です。
授業の軸をぶらさないように、事実ではなく心に着目して進めていきましょう。
また、エルトゥールル号の乗組員を助けた紀伊大島の人たちの心に注目したいですね。
なぜ、自分たちの生活が苦しいにも関わらず、見ず知らずの他国の人を、嵐の中必死で助けたのでしょうか。
紀伊大島の人たちは、「国も人種も地域も言語も関係ない。幸せに生きたい思いは同じ。」という思いがあったからではないでしょうか。
上記の②の思いと同じですね。
その思いが、トルコの人たちに伝わり、いつまでもトルコの人の心の中に残り続けていたのではないでしょうか。
直接は書かれていませんが、この紀伊大島の人たちの心に注目できるようにしたいですね!
3 導入
T:教師 C:子ども
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