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中学3年「恩讐の彼方に」【相互理解、寛容】の指導案はこうする!

こんにちは。
今日は
中学3年「恩讐の彼方に」【相互理解、寛容】の指導案はこうする!
このテーマで教材解説をします。

相互理解とは、文字通り互いに理解すること。
理想の関係ですが、なかなか難しいですよね~。

親友やカップルという近い存在、
ましてや夫婦でさえ、
互いに相手のことを完璧に理解している!
と言える人は少ないのではないでしょうか。

そもそも、相手を理解するって
どんな状態でしょうか?
相手を理解するには、
自分にはどんな心があればいいのでしょうか?

今日の記事で考えていきましょう!

では、解説です!

1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ

順番に解説します。


1 教材について

B 主として人との関わりに関すること
「相互理解、寛容」
目標・・・・・自分の考えや意見を相手に伝えるとともに、それぞれの個性や立場を尊重し、いろいろなものの見方や考え方があることを理解し、寛容の心をもって謙虚に他に学び、自らを高めていくこと。

「恩讐の彼方に」(光村図書)

あらすじ
了海という僧は昔、人を殺した。
その罪滅ぼしのために僧になり、多くの人の役に立ちたいと思って全国を歩いていた。

すると、豊前(福岡・大分)で危険な崖を見つけた。
落ちて怪我や命を落とす人が毎年いるこの崖に、安全な洞門を掘ろうと決意した。

何年も掘り進めていくが、村人はバカにする。
しかし、12年も経つと村人が石工を雇って了解を手伝い始めた。

そこに、了海が昔殺した人の息子である実之助が現れ、
かたきをうとうとした。

しかし、仇討ちの心より、か弱い老人が成し遂げた
偉業と脅威と感激で、実之助の胸はいっぱいになった。

2 内容項目と教材

「相互理解、寛容」の目標は、
自分の考えや意見を相手に伝えるとともに、それぞれの個性や立場を尊重し、いろいろなものの見方や考え方があることを理解し、寛容の心をもって謙虚に他に学び、自らを高めていくこと
とあります。

分解すると、次の通り。

①考えや意見を相手に伝える。
②個性や立場を尊重する。
③寛容の心をもつ。
④謙虚に学び、自らを高める。

この4つに分けられます。

1つの教材で目標の全てを達成するのは難しいですから、
どこかに重点を置く必要があります。

1つの教材で目標の全てを達成するのは難しいから、
『重点項目』として複数の教材で考えていく必要があるんですね。
実際、光村図書の教科書でも、「相互理解、寛容」は3つの教材が割り当てられています。

では、この教材は①〜④のどれに当てはまるでしょうか。
③が中心で、②の要素も少し入っている、といったところです。

③自分と異なる意見や立場を尊重する。
このことを中心に発問を考えたり、構成をしていきましょう。

とここで、
③寛容の心をもつ
もっと詳しく言うと
いろいろなものの見方や考え方があることを理解し、寛容の心をもつ
これについてもう少し深く考えてみます。

ものの見方や考え方があることを理解する。

相互理解、寛容には大切な言葉が目標から抜けています。

想像力です。

相手のことを「~かもしれない。」と想像することで、
自分も同じ経験をしていれば自分勝手な考えを抑えるきっかけになります。

「相手に伝わっていないかもしれない。」と想像することで、
自分の考えをきちんと伝えようという意欲がわきます。
相互理解の根底には、想像力が必要なのです。
授業で板書したり、子どもに言わせたりする必要はありませんが、
想像力が大切であることを頭にいれておきましょう。

了海は多くの悪事を働き、その悪事の中で
実之助の恨みを買った。
しかし、実之助は了海をみて、許します。

一見、理解に苦しむ展開です。

「なぜ、実之助は了海を理解した(許した)のだろう。」
この問いは、子どもとぜひ考えたいですね。

了海は、「罪を許してほしい」という思いからトンネルを掘ったのではなく、
「村の人達を助けよう」その一心で取り組んでいたのではないか。

体がぼろぼろになってもトンネルを掘り続ける
了海の姿を実之助は見る。
目の前の問題に、まさしく必至で一生懸命やる。
自分の決めたこと・信念に一生懸命向き合う、その心をピエロは感じたのです。
だから、実之助は胸がいっぱいになり、涙を流したのではないでしょうか。

結局、実之助は「仇を討ちたい」、了海は「身を捧げて成し遂げよう」という思いで始めたけれど、それよりももっと大きな願いとして、「村の人達に安全に暮らしてほしい」と思っていたのです。
その思いが同じで、実之助は了海の姿から、その本気の思いを感じたから、互いに了海と実之助は理解をすることができたのです。

では、このことから、何を子どもたちは学ぶのでしょうか?

それは、次のことです。
・自分が感じた他人の言動は、真実ではないかもしれない。
・相手の気持ちになって考えることで、相手の思いが感じ取れる。
・自分と相手の同じ思いを考えることで、相手のことを深く理解することができる。

これらのことが、抽象化されて道徳的な価値として浮き出てきます。

このように、教材をじっくり話し合い、そこから内容項目というフィルターを通して、
日常生活で使える価値を抽象化することで、道徳的な学びにつなげていくことが必要です。

この作業は難しく感じるかもしれませんが、意外と難しくありません。
他の事象と照らし合わせて、「あ、これってこういうことと同じか。」というポイントを見つければいいのです。
そして、その時が「なるほど!」とストンと落ちた理解を得られるときです。

3 導入

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