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絶対美人感

いつ見てもお洒落な人というのがいる。
たとえば、トップスの丈から色味から、シャツの重ね方。さらには重ねたシャツをのぞかせるバランス。ボトムスだって完璧。パンツの太さに裾から覗くくるぶし、靴の艶感、そして鞄に至るまで。少しの隙もなく、それでいて見ているこちらが恥ずかしくなってしまうような、力んだムードも皆無。毎日こんなにお洒落でいられたら、どんなに心地よいだろう?と惚れ惚れせずにはいられない。

「どうしてそんなにお洒落なんですか?」

実は彼にこの質問をするのは、この時に限った話ではない。むしろ会う度、ほぼ毎回のように質問してしまう。しつこいくらいに私が同じことを真顔で訊ねてしまうのは、視覚から入ってくる抜群の説得力に引っ張られているのと、折角身近に居るのだし少しでもあやかりたいという欲が混在しているからなのだろう。

「うーん、絶対音感ならぬ、絶対お洒落感じゃない?ちょっとでもお洒落じゃないと鳥肌が立って気分が悪くなるもん。わぁああ!家に帰りたい、着替えたい!って…というのは冗談だとして。お洒落って面白いよ?昨日までのお洒落が今日突然ダサくなったり、昨日までダサかったものが急にお洒落になったり。そういうのに気付くことが大事なんじゃない?」

そう言われてみると自分は、お洒落ー以前の問題で、着こなしというのだろうかーに対して全くと言っていいほど意識が向いていないのは明らかだった。なんとなく服を選んで、なんとなく体を入れて、靴と鞄を手に取って家を出る。適当さが仇になりタグが出たり襟が変な風に折れていることも少なくない。「絶対お洒落感」を持つ人からすると信じがたいことなのかもしれないけれど。

そういえば、いつ見ても綺麗な人というのがいる。
髪のセットもベースメイクもまるでつい今しがた仕上げたばかりのよう。ポイントメイクは大げさじゃ無いのにいつも少しずつ違って見ているこちらをワクワクさせてくれる。ころころと変わる表情に強張りのない柔らかな笑顔。これまた、いかにも気合入っています!という訳では無さそうだから、ついつい見惚れては「綺麗ね」と賞賛せずにはいられない。
言われてみると彼女たちもまた、「絶対美人感」を兼ね備えているのかもしれない。

よく「雰囲気が古くさくなるから可愛いや綺麗がピークだった頃のメイクのままでいるのはよくない」「年齢に合わせてメイクをアップデートすることが大切」とは言う通り、美人もまた日々変化があるように思う。
昨日まで素敵だったマットな作り込みメイクよりも、ナチュラルで抜け感がある仕上がりが支持される今日。盛れないと敬遠されていたほぼマスカラだけの目元がある日突然魅力的になったりもする。

もしかするとそういった嗅覚に敏感で、すぐさまキャッチ出来る人こそ「絶対美人感」を持っている人なのかもしれないし、実際のところ美しい彼女らは自信に溢れている。目鼻立ちに関係なく、「ビジン」で格好いい。

よくよく考えるとこれはファッションや美容に限った話でもない気がする。
それゆえ私は思うのだ。折角好きな分野があるのなら、そこに対しては強固な感覚と、褒められた時に臆面なく認められる自分でいたい。そして、そのためにも常日頃から造詣を深めていたい。

揺らがない自信を手に入れるためにも。

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新潮社ニコラモデルや光文社JJライターを経て、旅や美容を中心として暮らしに関する文章を寄稿しています。

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