見出し画像

文章のレシピ

「どうやったら、素敵な文章が書けるようになりますか?」

noteにエッセイを書くようになってからというもの、この質問を受けることが多くなった。私が素敵な文章を書けているかどうかはさておき、私は決まって、ほんの少し考えた結果、結局同じ回答をしてしまう。

「ねぇ、お料理は好き?個人的に文章を書くこととお料理は凄くよく似ていると思うの」

こう答えると大抵、この人はどうしてこんなに素っ頓狂なのだろう?という困惑の表情と共に、「料理はあまり…」という言葉が返ってくるのだけれど、私にとって作文は、文字の料理だと考えるとしっくり来る気がしている。

何か書きたいという空腹さながらの欲求や、決まった食事の時間のようにやって来る締め切り。それに合わせ、私は冷蔵庫の中身を思い浮かべたり、専門店へと食材を買いに出かける。

食材がある程度揃ったら、次は味付け。和食にするのか、洋風にするのか、エスニックかはたまた中華か。出汁はどう取る?スパイスは?調味料は?大蒜や薬味はどうしよう?

想像力を働かせて、ボリュームや彩りまでをある程度決めたなら、工程を。何をどう刻んで、どれをどのタイミングで加えよう?そんな風にシミュレーションが上手くいけば、もう完成は間近。きちんと手順を組み立ててさえいれば、実際に手を動かして作るのはとても簡単なことだし、もしも思ったよりも味が薄いだとか、なめらかさが無いだなんてことがあれば、最後に味を整えれば良い。

お気に入りのお皿に盛り付けられたら、とても嬉しい。誰かに振舞って美味しいと言って貰えたなら、最高の気分。せっかくならば、総てが出来上がる頃、お鍋やフライパン、調理器具は洗い終えて余裕の顔をしていたい。

やっぱり作文とお料理は、よく似ている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?