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パーフェクトなベレー帽を探して

ベレーほど簡単且つ大胆に印象を変えられる帽子を私は知らない。

つばの広い女優帽はエレガントな雰囲気を身に纏えるし、カンカン帽は軽快さと品性を備えた乙女らしさを装うことが出来る。しかしながら、ベレー帽は、選ぶ色や形、そしてかぶり方次第で、驚くほどにすべてを変えてしまう。

気をつけたいのは、あくまでも「良くも悪くも」簡単且つ大胆に印象を変えられてしまうということ。深く考えずにただ単に頭に乗せるだけというのは危険極まりないこと。漫画家だとかジャイ子だと揶揄されてしまう時、原因はそういうところにあるように思う。

例えば、私の場合。子供の頃からかぶる色は決まって寒色系。黒、紺、霜降りのグレー、ロイヤルブルーの中からコーディネートや気分に合うものを選ぶ。同じベーシックカラーでも白やベージュと言った優しい色味はどうも輪郭がぼやっと膨張して見えるし、野暮ったい印象になってしまう。また、かぶり方で言えば、帽子の淵を少し内側に折り込んで、目の上に出来る陰を僅かに調整する。そうしないと、瞼の薄い私は目元が落ち込んだ印象になってしまうのだ。同じく角度も大切な訳で、個人的には眉頭だけがちょっと覗くくらい深めに、そして右側を少しばかり下げるのが好みである。

シンプルな形の帽子だけに、きっと誰もが似合う色味や径、角度など少しずつ違う。けれど、シンプルな形の帽子だけに、きっと誰にでも、自身の魅力をパーフェクトに引き出してくれるコツがあるはず。自分に合ったベレー帽がワードローブに一つ二つあれば、いつものコーディネートに物足りなさを感じた時や、新鮮な気分になりたい時の救世主になってくれるだろう。一度かぶってみたけれど、どうもしっくり来なかったからと敬遠するのは尚早すぎるかもしれない。完璧に似合うものを一度や二度、何となくかぶっただけで巡り会おうとするなんて、ちょっぴり気が早いのではないだろうか。

だから是非、鏡の中のあなたをじっくりと覗き込むことを照れず臆せず、沢山試して探してみてください。もっとも魅力的にかぶることが出来るベレー帽を。

因みに発祥の地は元々フランスのバスク地方だとかベアルヌ地方だとか言われていて、今でもパリの帽子屋さんに行けば、グラデーション状に並べられた色とりどりのシンプルなベレーが€20程度で売られているから、パリを訪れた際はそれらを一つ一つ試して、その中で一番気に入った色を自分へのお土産として買って帰るのも素敵だと思います。

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