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目から鱗なメイク術

先日、rms beautyから新たに発売されたクリームファンデーションの発表会に合わせて来日していた創始者でメイクアップアーティストのローズ・マリー スウィフト氏。

彼女は化粧品を毎日使う人の健康を考え、有毒な化学物質から身を守ることをモットーに開発されたオーガニック原料によるナチュラルカラーコスメを展開していると同時に、長年にわたりジゼル・ブンチェンやミランダ・カーといったオーガニックやナチュラルビューティーに明るいモデルたちから支持されるメイクアップアーティストとして活躍している。ナチュラルビューティーという点においては言うまでも無いのだけれど、それだけではなく、彼女が施すメイクは彼女同様にとびきりキュートでチャーミング、さらにスマート。だからこそ、私はいつも彼女のメイクアップのデモンストレーションを見るのが大好きで、同時に、慌ててメモを取らずにはいられない。

今回も彼女が少しも勿体ぶらずに教えてくれたのは、劇的に「メイクが良くなる」ちょっとしたテクニックの数々。せっかくなのでメイク観が新しく開ける、それでいて驚くほど簡単なものを二つ三つ、ここでご紹介できたなら。

1.ツヤは戦略的に。
rms beautyを代表するアイテムといえば、ルミナイザーが真っ先に思い浮かぶ人も少なくないように思う。どのアイテムも「おっ」と唸る完成度の高さではあるものの、とりわけ気の利いたツヤ感とさりげなくも麗しい輝きがたった1秒で生み出せるという点においてはかなり革新的。ツヤアイテムを出すブランド数あれど、私はこれを超えるアイテムをなかなか見つけられない。
ただし、それゆえについつい楽しくなって調子良くツヤ肌を作ろうとした結果、単に汗でメイクが崩れ気味な人にしか見えない気がして、外出先で落ち込んだ経験も無いとは言えない。
「ツヤ肌作りは素人には難しい」そう決めつけそうになっていたところに、ローズ・マリー氏から目から鱗な一言が放たれた。

「ツヤは戦略的に作ること。大切なのはマットとツヤのコントラスト」

確かに、「今日はツヤ肌にしよう!」と思うと、無意識のうちにツヤに引っ張られて、妙にテカりがちに仕上がってしまう。だけれど、ツヤとテカリが異なるのは、あくまでもツヤめいているところとそうでないところがあるからで、ツヤと輝きは本当に必要なところにだけ与えることで初めて意味を持つのかもしれない。

「鼻筋や頬骨の上にひと輝き。誰がやり始めたのか知らないけれど、鼻の頭を光らせること、私はあれには同意しかねます。眉間と鼻の頭、それから目尻や小鼻、口角のあたりはパウダーでちゃんと押さえてね」

実際ツヤとマットの使い分け戦略を理解して以来、ベースメイクが思い通り。これだけでこんなに気分が良いなんて。

2.チークは鼻の穴が勝負。この日を境に、私はチークの入れ方がまるで変わった。そして余白が気になると感じていた自分の頬周りがぐっと好きになった。
こんなにも簡単なことで、こんなにも頬や輪郭、そして顔全体の雰囲気が変わるなんて。ローズ・マリー氏が教えてくれたチークの魔法。それはずばり、チークを鼻の穴のラインより下にはみ出させないこと。

「チークが鼻の穴より下にはみ出た瞬間、顔はすごく弛んで、そして老け込んで見えるの。だからジゼル(ブンチェン)はいつも『チーク、鼻の穴からはみ出して無い?』ってしつこいくらい確認するわよ(笑)」

この言葉を聞いて以来、私はこまめにチークの位置を確認するようになったのだけれど、確かに気を抜くとチークはすぐに鼻の穴よりも下のラインに侵出してしまう。その反面、注意深くチークを入れるだけで、きちんとメイクをした感が出るし、はみ出したチークをきちんと処理するだけで、その日の顔の仕上がりは格段にブラッシュアップされる。こんな簡単なポイントを知らなかったなんて、ずっと損していたのかも、とまで思えるのだからすごい。

3.下唇の真ん中だけを。
rms beautyのリップスティックは口に入れても安心なオーガニック原料から作られている。ゆえに比較的ぱっきりとした色の出方で、それがまた今っぽくて可愛い。
だけれど、その日によって色の濃さは調整するのがリップメイクの醍醐味でもある訳で、ローズ・マリー氏としては、ブラシを使って塗るのがおすすめなのだとか。そして、そのブラシはなんと、アイシャドウブラシ。

言われてみればあの硬くて細いリップブラシよりも、太くて短く、そして幅のあるアイシャドウブラシの方が、ラフさや抜け感みたいなものをうまく出せる気がする。私はその場で深く頷き、納得せずにはいられなかった。

「またジゼルの話になるけれど、彼女は下唇の真ん中だけをはみ出させるの」

いかにも、では無くて、さりげなく、コケティッシュでぷっくりとした唇を作るテクニック。ジゼルらしいな、と思わず真似したくなって、私はこのところ下唇の真ん中だけをほんの1ミリ、オーバーにリップを塗っている。それがまた、妙に楽しくて楽しくて。

今回彼女が教えてくれたこと。戦略的なツヤとマットのコントラスト、絶対的なチークのライン、そしてわずかなオーバーリップ。そう、僅かな工夫次第で顔も雰囲気も一変するのだから、メイクは面白くて底が知れないのだ。

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