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主人の帰宅

主人の葬儀が終わり、主人のお骨と霊璽(位牌のようなもの)と一緒に帰って来た。

一晩留守にしていたので愛猫の黄菜子が熱烈歓迎してくれた。
主人も、きっと黄菜子に会いたかったと思う。あんなに可愛がっていたのだもの。

たとえお骨になっていたとしても、みんなが暮らす家に連れて帰る事が出来た。
正直、それが嬉しかった。
帰りたかったろうな、と思うから。
いろんな事が分からなくなっていても。やっぱり自分の家だもの。

私にとっても「自分の家」と思えるのは、自分達で選んで、子供達を育てながらローンを返したこの家だけだから、主人にとってもそうだったと思いたい。

数日前に、黄菜子のケージを片付けて作っておいた主人の為のスペースに、葬儀社からいただいた一式のセットを組み立てて、主人のお骨や霊璽などを安置した。
広くはない家の中で、何とかなりそうだったのがその場所だけだった。
ケージを畳む時、黄菜子に思いっ切り不審がられたけど、協力してもらった。

神道で仏壇にあたる祖霊舎というものがあって、それは主人の実家にある。
流れでうちの家に連れて帰って来たけど、
「とりあえず50日祭(四十九日のようなもの)が終わるまでは良いかな」
という思いもあった。

葬儀でお世話になった神職の方にも、
「別に御主人だけの祖霊舎にしても良いんですよ。
 仏壇に比べたら質素なものです」
とも言われていたので、それが出来たら良いなと思っていたのだけど、やっぱりなかなかそうは行かなかった。


しばらくして、義母から
「親戚や友達が拝みに来てくれるって言うてるから、霊璽を持って来て」
と連絡があった。

持って行くのは良いにしても、そのあとどうしよう。
そう思って子供に相談した。
相談して、そして、主人の霊璽は義母に預ける事にした。

家には分骨してもらった小さい骨壷だけ置いてある。
霊璽と、葬儀の時に使った写真を義母の所に持って行った。
50日祭が過ぎたらそこの祖霊舎に入れてもらう事にしたので、今も主人の霊璽は義母と一緒に居る。

抵抗が全く無いわけではないけれど、主人が義母と仲が良かった事や、写真を持って行った時の義母の喜んだ顔が何だか切なくて、主人に最後の親孝行をしてもらうつもりで置いて来た。


娘が、
「絶対お父さんを家に置いときたいって言うんやったら、それが筋やと思うけど、譲れるんやったら預けとけば?」
という、いかにもイマドキな意見を述べてくれたので、それに従う事にした。

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