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Cami no fune

隠したほくろを覗けば、
水のほとり 
そのどこかの地点でわたしたちは繋がった

川が結んでいたかったのは
朝と夜でも、最初と最後でも
光と暗闇でもなかった

脈を打つように折った、紙の船
空まで沈んで、海を見下ろす  
水面は季節を心酔させた
この飛行雲は 
明日からの命の余韻なのだと
風が吹いた

なんておかしな世界で
守られていたの
繊細な姿勢は崩さずに
不安をさすらう
こんな時代でも覚えておきたい

この船は
いつかの
あなたへの手紙なのだと
鱗の剥がれた魚が言った

行方が分からなくなったのなら、
どうか想像をやめないで
ほら見て、珊瑚礁に花が咲いた

心の隙間に渓谷が見える、
生きた川が流れてる
どこかの地点で、
あなたの流れと交わった
海がきこえる方へ
紙の船は漂流する

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