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花譜

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四季の花や植物との出会い。古道具と花、写真で綴る短いエッセイ。
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2022年7月の記事一覧

返り咲きのクレマチス

5月にバルコニーで満開になったクレマチス。 梅雨に入る前に、花がらを摘み、伸びた蔓を整えておいた。 狭いバルコニーでは、リビングからよく見えるメインの位置から、花盛りの時計草の背後に回っていたものの、忘れた頃にまたポツポツと花をつけた。 まさに返り咲き。アンコール劇場。 晩年の名役者のようだ。 返り咲きは、儚い。 花も小さいし、蔓も細い。 でも、よくぞ咲いてくれました。 一旦梅雨明け宣言の後、梅雨に逆戻りしたかのような土砂降りの雨の朝。 きっと、雨に打たれて花も落ちてしま

ソーダ水の向こう 神奈川県立近代美術館 葉山館

多分今日なら大丈夫そう。 R134を東へ走る。 いつも混雑してうんざりの七里ヶ浜のカレー屋の前も、ほぼ滞りなく通過。 休日は、このルートは走らないのが鉄則。 これなら会館前に間に合うだろう。 江ノ島、由比ヶ浜、材木座、逗子海岸と人手はまだ少なめ。 平日朝の海岸は、ほぼローカルな人々の時間帯。 信号待ちで、風に揺れるカラフルな海の家のパラソルが目に映るが、映像をみているようで、自分とは無縁な世界だな。と思う。 渚橋交差点を過ぎると、道が細くなる。 バスが来るとすれ違いに注意

モノクロの時計草

7月は、梅雨末期から夏に変化する微妙な月。 梅雨明けが長引いて太陽が待ちきれなかった年もあれば、今年のように早くに梅雨明けしたものの、また逆戻りのような不安定な年もある。 この時期、人間も気候に合わせて体の調子を整えるのが難しい。 しかし、植物は柔軟だ。 年によって、遅かったり早かったり、沢山花を付けたり、または寂しい年もあるが、時間にになると咲いてくる。 時計草。 鎌倉の光則寺さんの手前にある幼稚園の壁一面の時計草。 毎年、楽しみにしている。 先週、様子を見に行ったが、今

乙女ユリ

今年もこの季節がやってきた。 花市場に一瞬しか出ない、福島の月田農園さんの乙女ユリ。 乙女ユリは、『ヒメサユリ』の別名で、日本の原種。現在絶滅危惧種となっている。 実は、家には猫がおり、『ユリ』は中毒症状を引き起こすという事で、一昨年から家の中には、ユリを置かないようにしている。 でもどうしても今年も愛でたくて、今日は雨の中、バルコニーのテーブルの上に置き、室内のリビングから眺めている。 西洋の交配種の大きな百合と違って、とても壊れそうなくらい繊細。 恥じらいながら俯く姿

涼しげな夏模様

暑くなってきたから、先週から今週にかけて、ファブリックをリネンに替えたりと、少しだけインテリア小物替えをしている。この暑い中、家具を動かすなど、何か大きく変化させる元気はない。 日本の模様は、特に季節感ある模様があり、それを少しだけ生活に取り入れると目から涼しく過ごせると思う。 網目に金魚模様の小皿。ユーモアのある模様。 これはあまりに可愛らしくて、印判の小皿を集めるきっかけとなったもの。 水羊羹やふ饅頭の夏菓子の方が合うかもしれないが、ご近所の和菓子屋さんで『あんドーナ

アガパンサスと紫陽花

先週の急な猛暑の日々を、やや涼しくなったので窓を全開にして今思い出そうとするが、あまり思い出せない。暑さは思考を停止させるようだ。本来なら、もう少し、しっとりとした梅雨の花をいくつかご紹介したかったが、遅れてしまった。 梅雨期からいっぱいに傘を広げている、アガパンサス。 晴れの日なら、涼しげな日傘、といったところ。 こんな高温多湿な時期でも虫がつきにくく、庭に植えてもボリュームが出せるので優秀な植物だと思う。 好きな7月の花の一つで、特に白は美しい。 昨年秋から、白の球根