日系企業の人事制度が反ローカリゼーションである件について

日系・日本企業は現地の人材マーケットをもっと理解する必要があるよね、という件について今日はサクサクと話してみたいなと思います。
自分も日系企業の北米子会社で現地採用されている身なので、日々残念に思うところもあり、準々に根本的な違いを見ていきたいと思います。

1. 流動性
ある程度地域経済が確立している地域、例えば一定の人口があり、世界的に有名な研究大学(アメリカの場合、全国的な大学ランキングは世界ランキング直結)があり、割といくつか産業が栄えている地域では、20代から35歳くらいまでの人は2、3年に一回は転職します。
本当に2、3年に一回です。このミレニアル(millennials)と呼ばれる世代は、すぐ上の世代であるgeneration X(30代後半、40代前半)とか日本でいう団塊世代、米国ではベビーブーマー世代(60歳以降くらい)と呼ばれる世代と全く感覚が違う!ので、アメリカ国内でも様々なミレニアル研究がされています。飽きっぽいとか要求が多いとか自分が特別と思っている、とか「近ごろの若者は」的なネガティブなものも多い反面、彼らと今10代かそれより下の子供達(generation Z)が今後の消費者になるということで、よくよく研究がなされています。トレンドに敏感で、テクノロジーに強い、スキルアップに貪欲、ブランドよりもエコや新しいことをやっていて反体制的(rebellious)な企業が好き、とか色々なことが言われてます。詳細はFord future report を見ていただけると分かっていただけるかと。
なので、今までの世代と全く違うストラテジーが必要なのだ、ということを人事関係者の方に言いたいんです。

2. 給与
米人は日本人より頑張らない、とか勝手に思われがちですが、そんなことないです。ど真剣に自分のキャリアを考えてる人がほとんどだと思います。なぜかって、定年がない、年功序列がない(実力主義)、年金制度(social security)から全く期待できるほどお金も返って来ない、セーフティネットがとことんない、即日解雇は違法じゃないので、いつ何時レイオフされるかわからない=家族の明日の保証がない、といった背景がまずあるからです。米国の「アメリカンドリーム」はいまだに特に移民の間では健在しており、大きな家が欲しいんです、皆さん。また、建国のベースとなってますが、プロテスタントの流れで「勤勉さ」はかなり重要です。で、そこで、じゃ日本と同じで実は勤勉なんだね、じゃ、日本と同じのシステム導入して、そこに期待すればいいじゃん、と思われるかもしれませんが、また微妙に違うんです。勤勉さ=金銭的見返りの期待の大きさ、になるからです。そもそも新卒一律手捕り月給21万円うんぬん、ていうのがない社会において、全く同じ年齢で、大体似たような経験を積んでる隣のデスクに座ってる2人の年収に、うん百万の差があることはザラです。
この違いはどこから来るのか?それはやはり能力が凄いんだ、と面接でちゃんと言って、それに見合った業績を上げて、キチンと見返りに毎年キチンと昇給してもらってるから、もしくは昇給を狙い通り勝ち取る努力をしてるから、になります。
自分の身(金)は自分で守れる人間、うまく給与交渉が出来る人間が優れた大人とされる社会において、日本の一方的で透明性のない、アメリカ企業と比べると非常に低い昇給率は非常に混乱を呼びます。何より仕事へのモチベーションを大幅に下げています。

3. 忠誠心
1と繋がってきますが、若い世代だけでなく、上の世代も、常に弱肉強食の世界で自分のキャリアを考えてますので、会社や上司に恩を感じていても、それイコール会社に残る、とはなりません。「今までありがとう、でも他にいいチャンスがあったら応援してくれるべきだよね」、となります。会社の規模や転職回数とかは転職市場で全く加味されない米国では、ただ単に給与等の条件を考慮するからです。
でも、給与の項目で述べたように、見返りを毎年渡し、次の方向、キャリアが伸びていく余地があるんだということを見せてあげれば、やはり話が違ってきます。

このように読むと、やりにくいわがままな連中のように思われるかもしれませんが、逆に指摘すると、日系企業というか日本社会は、従業員を「従順な子供」のように扱ってる面が否めないかと思うんです。例えば、お手伝いをしてお小遣いアップを狙う子供に、黙々と家の前を箒で掃くといったお手伝いを毎日してれば、そのうち十円時給がアップするよ、って言われるよりも、掃き掃除がとっても君は上手いから、今月は更に皿洗いも追加するっていうオプションもあるんだけど、そしてその場合は時給が五十円上がるよ、どっちがいいかな?っていう提示を言われたり、もしくは子供の方から言えたりできる透明性のある関係の方が利害関係が一致しませんか??

人材は企業の競争力に直結します。また、現職者、転職者の評価はオンラインで数字で出ています。日系企業で評価がいい企業って見たことがないんです。コメント付きで出ており、人事はよくよくこの点勉強したほうがいいと思います。

色々考える今日この頃です。。。

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