第1章 揺れる三つ編み。–インドへ–
アキはまた苦笑いをした。
長い三つ編みがまたユラユラ揺れている。膝に届くのではないかというほど長いその髪は、中国では近代化するまで男がしていたという前世紀の頭髪を思い起こさせる。
3ヶ月前から住み込みで始めたメイドのことは嫌いではないし、彼女たちのような人間を見下すのは非常識なことも知っている。でも、アキとアメリカ人である夫の年齢が近いことやら、学歴もほぼ同等な上、夫婦間でフラットでフェアな関係を築いてきたと自負するアキには、読み書きさえろくに出来ない村人が朝方から自分の家の