青い霧

ずっとうずくまっていた。下唇を噛み締める力さえも出ないくらい疲れ切っていたけど、うずくまって時が過ぎるのを待ってた。ただその濃い青い霧が晴れるのを待ってたんだ。待つことが、明日を信じることが、私の唯一の力だった。
その時、私は鬱だった。やっと産まれた長女を文字通り手元に抱えて、産まれてきてくれたことで支えられていた部分と、後戻りはできないという恐怖感が絶え間なく押し寄せてくる毎日。死ぬまで爆発しない時限爆弾を抱え込んで、私は生きてて死んだようなものだった。
人間失格だと思っていた。その時はそう思わされていただけだったのだけど、今ならわかるんだけど。孤独と恐怖で気が狂いそうなんだけど、それに気が付いたらあと一歩でバランスを崩してしまいそうなので、私の精神と永遠にサヨナラなので、それを忘れること、心全体に霧をかけることが癖になっていた。
喜びさえも、例えば彼という唯一の支えと一緒にいるという時間さえも霧がかかっていて、直接にはそれには触れられない、感じられない。そんな気分。世界全体にかかってる濃い霧。

その気持ちを久しぶりに思い出した。正確には、思い出せるくらい、きっと霧が晴れたのかな。今もやっぱり丘の下にいて、結局てっぺんで見渡してるわけじゃないんだけど、私はその自分の世界が全体的に沈んでる感覚は好きなんだ。ありがとう、ここにいる事実。隣にいてくれている君たちへ。

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