まっすぐさは、時にあやうい
2020年に映画化された、『スパイの妻』の文庫版を読んで。
疑いの中で行動することほど地に足のつかないことはない。
まるで全てがうそに思える。
「はい。」という何気ない返事から、ほんとうは嘘かもしれない。
聡子のしなやかでつよい心は、情報の非対称性を克服できない状況で、苦しくてつらい思いを耐えた。
自由、嫉妬や疑義、未知、恐怖、もどかしさ、絶望、隠された本心、開けない扉。
すべての物語が報われるわけではないけれど、彼女の心は報われてほしいと欲がでた物語。
我を強く在り