ハンドクリームをやめた

ハンドクリームをやめた。

4、5年前から、冬場の手荒れに悩まされるようになり、ハンドクリームを塗っていた。
もちろん、手荒れがひどいときは皮膚科に行って薬をもらっていたし、肌に優しい洗剤を使うようにもしていたが、ここ1、2年はとくにひどくて悩んでいた。

手荒れはきつい。昔から、「手がきれいだね」、「指がきれいだね」と言われることがうれしかった自分にとって、水作業のたびに手が痛むことや、手指にひびやあかぎれがずっとあること、絆創膏がたえないこと、それらが毎日小さなとげのように心に刺さっていた。

手荒れはすぐに治る。一つひとつはさほど深刻なものではない。ただひとつ治ったかと思えば、またべつの指に出る。反対側の手に出る。加えてニキビができた日にはかなり落ち込む。病院で、単なる乾燥による肌の炎症だと言われていたとしても、心に落とす影があることはべつの問題なのだ。

たまに、荒れた手がとてもかゆくなった。夜、眠れない日もあった。少しずつ眠りに落ちていく意識を引き上げるように、つよいかゆみが走るのだ。

昨日、数年ぶりにハンドクリームを塗るのをやめた。いろいろ試して、肌に合うものを選んだはずだったけど、やっぱり肌に合っていなかったのかもしれないと思ったからだ。
不思議なことに、ハンドクリームをやめたらすぐに肌荒れが治ってきた。赤みが引いた。新しいひびやあかぎれも出なくなった。もしかしたら、本当に肌負けしていただけだったのかもしれない。

ここ最近、学んだことがある。
肌の調子は、表面から塗る何かよりも、毎日食べる食事や、毎日飲む水の方が大事だ。こまめに水分補給をして、たんぱく質をしっかり食べたほうがいい。
あたりまえのことだけど、大人になると、そのあたりまえができなくなる。わからなくなる。だって、あたりまえが多すぎるのだから。

生きていくということは、自分で何かを選んで決めるということなのだと思う。
病院の薬で肌荒れが治る人もいれば、肌負けの原因を改善して治る人もいる。何が正しいのか、はっきりとわからないことがたくさんある。
それでも、生きていくには、何かを選んで、決めていくのだ。
それをするのは、自分なのだ。

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