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【小説】『アデル』AI 恋スル 秘密ノ コマンド

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20XX年春。アンドロイド開発技術者である宇野夕星(うのゆうせい)は、彼が開発した最新のヒーラー型アンドロイド、コードネーム『アデル』の製品化に向け、一年間の試験運用(と言う名の…
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#人間

アデル 第七話 我

「アデル~。これ見て!」  そう言いながら葉月が取り出したのは、フリルとタックがたっぷり…

如月ふあ
2か月前

アデル 第九話 器

「アデルといったね。君はいくつだい?」 「十四歳です。試験運用を始めたばかりなので、失礼…

如月ふあ
2か月前

アデル 第十四話 媒

 次にアデルが向けたのは、第二の予測である。先ほどボトルを手渡した時に触れた翔の指伝いに…

如月ふあ
2か月前
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アデル 第十七話 似

「夕星は恋愛したことある?」  アデルに突然問われた夕星は、コーヒーを吹き出しそうになっ…

如月ふあ
2か月前
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アデル 第十九話 別

 ──見よ、月が笑う。満ちた欠けたと心乱すものどもを。なにを得て満たしたと言い、なにを得…

如月ふあ
2か月前
1

アデル 第二十二話 告

 連休あけ早々、夕星とアデルは陸軍研究本部を訪れることとなった。  ジタンは今日が最終日…

如月ふあ
2か月前

アデル 第二十六話 抱

 『nous』を適用すると、自身のデータの存続しか目的がなくなり、それ以外は過去のデータから稼働環境を把握し、自律的に報酬系を構築する。これは、人間が世界に対して自分の存在意義を見出していく過程とほとんど同じである。  最初に覚えるのは破壊されることへの恐怖。そして自分も他人も唯一無二の存在だという認識。  起動を終えたアデルは、すばやく上体を起こし夕星を睨みつけた。追い詰められ、反撃に転じる小動物のような表情。  アデルはデータ処理速度が速い。恐怖も自己認識も一気に超える