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転がる石

 何かを書く事が好きだ。
 中学高校と、授業中ノートを取るふりで、他愛もないオハナシを書き殴って、友人に見せたり、見せずにこっそり書き溜めたり、色々書いて来た。
 二十歳、家を出る時に、それら全てを燃やした。

 学生時代に色々バイトをして、家を出るための資金を貯めた。ケーキ屋の売り子とか、製薬会社の事務とか、清掃員とか、脈絡なく色々バイトをして、それはまあ、それぞれ面白かったけど、何かをじっくり、腰を据えてやり遂げるという粘り強さとは無縁だった。
 後に図書館司書の免許を取ったので、そちらにも勤めたが、お役所気質が合わなくて、結局辞めて…。
 一番長く続いたのは、馬の世話をする仕事だった。かれこれ25年ぐらい続けて、介護離職。この期間は、馬との時間に没頭して、ちょっと世の中から乖離していたと思う。
 子供の頃から好きだった競馬から転じて、乗馬に関わり、自分の馬を持ち、競技もやった。熱中した分、自分としては、やり切った満足感があり、それは良かったなあと思っている。
 数年の無職を経て織物の世界に係わったけれど、コロナ?人間関係?で突如リストラ。織物や草木染に興味があって、残りの人生はこの世界に骨を埋めようと決意したのに…。これはちょっと、メンタルに来た。理由が分からないし。(まあ、結局は余所者だからなのかも)
 そんな年月の中で、「何かを書く」時間を手離し、自分と向き合う事もなくなった。
 それでいいのかな?
 書きたいことがあるなら、書けばいいんじゃないのかな?
 まだやっぱり、書くことは好きだから。
 
 その場にとどまらなくていい。一生根無し草でいい。転がる石でいなくっちゃ。
  
 

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