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MBA留学の社内選考を突破するための方法(後半)

社費留学制度を突破するための論理武装

 前半では下記の社費留学制度の社内選考を突破するために必要な要素の1と2について説明いたしました。

 1: 会社のあるべき姿は何か?
 2: あるべき姿を達成する上での課題は何か? 
 3: 課題を解決するにあたってなぜMBAなのか? 
 4: MBAが会社の課題を解決するとしてなぜ君が行くべきなのか?

 
 課題の設定とそれを克服したことによって達成される「会社のあるべき姿」についてストーリが出来上がっていることと思います。今回は、その続きとして3と4について説明したいと思います。

課題解決の手段としての海外MBAとは 

 元も子もないことを先に書きます。設定した課題を解決する手段として「海外MBAしかないのだ!」と言い切るのは無理です。MBAはコモディティ化しており、そこで学べる学術的な知識の多くはネットで学べる時代になっています。
 
 「海外に居住して世界中のエリートと切磋たくまして〜」というストーリを良く聞きますが、それなら海外駐在でも同じことが言えます(シリコンバレーで勤務したので良くわかります)。海外駐在であれば事業に貢献してもらえるので会社からすれば「じゃあ海外駐在させるよ」となってしまいます。そもそも「お前が切磋琢磨して成長できたとして、それが会社の課題解決に繋がるとは思えない」と言われている人もいました。

 ここで私が思うのは、綺麗な背負い投げ一本ではなく合わせ技一本をとる戦術しかないということです。
 
 合わせ技一本をとるために私が心がけていた点を以下にまとめます。

ポイント①:MBAはなんでも解決できる「魔法の杖」ではない。あくまで設定した課題を解決できそうな手段の1つである。その前提で具体的に学びたいことを定義。

ポイント②:実はWhy MBA?よりWhy you?を先に定義した方がラク

ポイント①:
 MBAに行けば会社の課題が魔法のように全て解決するというストーリを立てる方が多いように思えます。たしかにMBAに行けばストラテジー、マーケティング、アカウンティング、アントプレナーシップなどを体系的に学べます。でもそれだけです。良く言われる海外のエリート間の人脈が培われるという話も、個人としては有益でしょうが日系大企業の課題解決にそれを生かすのは非現実的だと考えます。その前提で「MBAは設定した課題を解決する手段である」と論じる必要があります。
 私が皆さまにアドバイスするのは、具体的なMBAの授業をそのMBAの特色に絡めて具体的に調べることです。例えば、事業ドメインの変革に関するストラテジーの授業で著名なA教授がINSEAD(仏)にいる。彼の論文を活用すれば「設定した会社の課題解決の一助になる可能性がある」という具合です。日系大手企業ならば先輩に多くのMBAホルダーがいることでしょう。しかし、その先輩方はINSEADのA教授には師事していない。だから、このタイミングで「会社の新たなナレッジ」として取り組む必要がある、というストーリです。
 ただ、ここで気をつけなければいけないのは、先ほど述べたように、過度にA教授を神格化しないこと。MBAやその教授を神格化しすぎると会社側はその一点を論破しようとしてきます。あくまでA教授は選択肢の1つくらいに留めておく方がベターだと考えます。設定した課題解決手段の候補の1つとしてA教授に師事するのも会社として悪くないな、くらいの合意を獲得できればOKです。

ポイント②:
 本noteの冒頭に「主語は私にするな」と記載しました。ですので、ここまで長々と主語を「会社」にして議論を展開してきたと思います。最後の最後でやっと「私」の出番です。設定した課題を解決できる人材は「私」しかいない、と論じるのです。

 私の例を挙げて見ます。創業以来、我が社はBtoBとBtoCの両事業をやってきました。BtoCビジネスの方が長らく主流で会社の稼ぎ頭でした。しかし、市場がコモディティ化し利益をとれる事業ではなくなってきた。会社として更なる飛躍のためにBtoBを加速させる必要がある。でも課題だらけ。これまでの私のキャリアはBtoBの営業、開発、マーケを多角的にやってきた。さらには経営企画部で経営的目線も養ってきている。このような人材は3万人いる社員の中で100人。そのうちMBAに行っている人材は皆無。会社として本気でBtoBにシフトするならば、そういう人材に投資する必要があるのでは。方程式にすると以下です。

[方程式]
会社の課題を解決するための方法
 =私の経歴(≠私) + ●●大学MBAの▲▲論

 ここまで来たらこれまで積み上げたストーリを逆に流して見てください。私の経歴とMBAで学びたいことが活きる会社の課題に微修正が必要です。私の場合は、

 私の経歴=BtoBのプロフェッショナル+経営
 MBA=INSEADのA教授の理論(事業ドメインの変革に関するストラテジ)

 だから、方程式を完成するために「課題はBtoBにうまくシフトできていない」とするべきです。

 私はたまたま”BtoBのプロフェッショナル+経営”という経歴を武器にしましたが、例えば”入社以来一貫してデジタルマーケティングをやっている”のであればそこの独自性にフォーカス。会社の課題を「デジタル戦略の遅れ」、MBAの目的は「古典的なMBAにデジタルマーケを取り入れた○○大学のMBAに行くべきだ!」とすれば良いのです。 

最後に

 以上、社費留学の社内選考に関する、私なりの考えをまとめました。転職する前は毎年後輩から選考に向けた相談が来ていました。転職してしまって相談されることも減っているので、忘れないようにnoteに書き留めておきました。何かの参考になれば幸甚です。

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