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コーヒーで読み解くSDGs【読書レビュー】

 この本のエッセンスは「SDGsと関連性の強いコーヒーを用い、SDGsについて読み解いていく」というものだ。

 本書では、SDGsにて掲げられている17のゴールに沿った、コーヒーに関する現状や対策が語られている。私は大学の卒業論文にて「コーヒーの持続可能性」というテーマで進めていくつもりだったので、書店でこの本を見つけたときは胸が踊った。SDGsのゴール通り17の章に分けられているが、どの章でも通ずることとしては、コーヒー農家の悲惨な過去、現状や消費者としてどのような意識を持ってコーヒーを消費するかという点だ。著者からの大きなメッセージとしては、「普段からコーヒーを楽しんでいる人は、少しでも品質の良いコーヒーを飲み、品質に合った金額を支払うことが大切だ」というものだ。私たちが美味しいコーヒーをそれ相応の金額を支払って飲むことができれば、コーヒー農家にとっては大きなインセンティブとなり、より品質の高いコーヒー豆を生産することができるという。これを読んで私は、缶コーヒーや100円コーヒーのようなものは買うのを辞めようと決意した。今これを読んでいる「私はコーヒーが好きだ」と思っているあなたも、より品質の高いコーヒーを求め、安いコーヒーは買わないという取り組みをしてみると良いだろう。そもそも、日本のコーヒー業界は高い利益率のために品質の低いコーヒーを低価格で提供している。それがコーヒー農家を苦しめているとも知らずにだ。1杯400円のコーヒーがあったとして、その内コーヒー農家に対する収益は1円にも満たないのが現状だ。コーヒー農家としても品質の低いコーヒーを大量に生産することは、モチベーションの低下につながっている。この現状を変えるためには、我々消費者が少しでも高いコーヒーを飲むこと。では、どこのコーヒーを飲むのがいいのか。迷う人も多くいるだろう。現在の日本でSDGsを意識した取り組みを行っている機関を列挙するので、参考にするといい。
・東京大学…コミュニケーションセンターによるドイトンコーヒープロジェクト
・明治大学…島田ゼミによる途上国への支援
・東洋英和女学院大学…国際社会学部による農園へのチャリティ活動
・珈琲工房ひぐち…サスティナブルシンポジウムの開催
・ベルシステム24…障害を持つ社員のやりがいを創出するカフェ
・八芳園…17の目標達成に向けて独自のプロジェクトを行う

 本の特徴としては、3人の著者が書いているものにしては、一貫性があり読みやすいと感じた。コーヒー好きにはぜひ読んでほしい。


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