見出し画像

Carl ZeissのPlanar 50mmや85mmの比較

 前回の記事に引き続き、Carl Zeissの50mmと85mmの比較表も作ったので、大掛かりな記事にまではしませんが掲載しておきます。比較の方法論については、こちらの記事の2(2)と同じです。

 結論から言いますと、35mm-85mmの手持ちのCarl Zeissレンズを比較して分かったことは、Zeissレンズは新旧問わず、Nikonと比べて若干緑寄りの発色をするということでした(むしろNikonが赤い・マゼンダ寄りか?)。
 ただ、色温度は一部例外を除き、Nikonと同等のニュートラルな感じではありました。
 そのため、Zeissは、派手ではなく、落ち着いた色調の写真を撮りたい時に向いているかもしれませんね。
 なお、今回は解像度やフリンジ等の描写の比較はしていません。
 また厳密な実験環境・条件での比較ではないし、加えて、特にオールドレンズは経年劣化等の個体差が激しく、個体によっては同様の結果とならないこともご理解ください。

今回の実験環境、ここでひたすらレンズをとっかひっかえして撮影しました。。。

1 比較対象のレンズ

(1)50mm

 50mmのレンズの比較対象は6本です。コシナ社製の(1)Planar 50mm/1.4 zf、(2)C Sonnar 50mm/1.5、オールドレンズの(3)Rollei HFT Planar 50mm/1.4、ヤシカコンタックスの(4)Planar 50mm/1.4 AEJ、そして現代レンズの(5)Loxia 50mm/2になります。新旧Planarの揃い踏みとなるだけでなく、現代のPlanar vs Sonnarの対決となるのが興味深いですね!なお、(6)Nikkor z 50mm/1.8を比較の軸となる基準レンズとして設定します。

(2)85mm

 85mmのレンズの比較対象は6本です。コシナ社製の(1)Planar 85mm/1.4 zf.2、(2)Milvus 85mm/1.4 zf.2、オールドレンズの(3)Rollei HFT Planar 85mm/1.4、ヤシカコンタックスの(4)Planar 85mm/1.4 AEG、木下光学研究所の(5)Kistar 85mm/1.4です。50mmに加えて、(6)Nikkor Z 85mm/1.8も参照します。

 85mmの方はこちらの記事をデータによって補完するような内容になっているので、併せてお読みいただけると嬉しいです!

2 検証結果概要

結論は以下のとおりです。

(1)50mm

Zeissレンズは開放では若干寒色系・緑系統の発色
・Planar 50mm/1.4(Zf、HFT、ヤシコン)は、現代レンズであるコシナ製のZfでもシャドー部が浮きがち。ただし、Zfと同じ年(2006)にコシナから発売され、そして同じくオールドレンズをオマージュしたC Sonnarは浮いていないですし、2014年のLoxiaも言わずもがな。
・どのレンズも絞っていくとNikkor Z50mmに近付き、ニュートラルな色合いに。ただ、Planar 50/1.4 (Zf、HFT、ヤシコン)は絞ってもシャドーが浮きがち。
・以上より、発色の傾向及びシャドー部の浮き具合を考えると、特にZeissのオールドレンズには開放での撮影での透明感のある描写が向いているのかもしれませんね。

(2)85mm

・こちらは50mmと異なり、どのレンズもNikon Zレンズと同様の色温度でニュートラル
・ただ、50mmの場合と同じく色被りは緑系統。特に木下光学は以前の記事でも指摘した緑被りがやはり数字でも顕著に表れている。
Nikon Z85mmが赤っぽい発色をすると感じていたのは間違いではない。むしろZeissが緑系統なのか、あるいはNikonが赤系統なのか。
・また相対論ではあるが、Zf Planar 85mmとヤシコンは暖色系・赤色系で、MilvusとRollei HFTが寒色系・緑色系であることが、数字でも裏付けられた。
・露光量はNikon Z85mmとの比較ではヤシコン・木下以外は変わらない。ヤシコンはオールドレンズらしく(?)、実際の光の透過率が低いのだろうか。一方で、むしろヤシコンより先に発売されたRollei HFTが同等の透過量を示しているのが素晴らしい。
・黒レベルについては、Nikon Z85mmとの比較では、ヤシコン・Rollei HFTともにシャドーが浮きがちで、特にRollei HFTはヤシコンよりも一層目立つ。
・いずれにしても、こちらの記事の感覚値と今回の数字がそれほどズレがないのが一番の驚きでした。

(3)50mmと85mmの比較

・ちょこちょこと数字は異なるものの、いずれも少量の誤差の範囲と考えられ、同じラインならば似たような色温度・色被りを前提に撮影できることが分かった(メーカーからしたら当然の話とは思いますが)。
・ただ、詳細に見ると、Zfについては、50mmの開放・開放付近が若干寒色系で35/85mmとは少し傾向が異なることに注意。それは自分の感覚値とも一致(自分としてはむしろ35/85mmの方が暖色系と感じていた)。
・また、ヤシコン50mmの開放の色温度(結構寒色寄り)・色被り値(かなり緑寄り)は他のレンズや絞りと比べても突出した数字で、何かの間違いの可能性あり汗。それさえなければ、85mmとほぼ一致。

(参考)シリーズ別の比較表

 かなりおおざっぱな条件で撮影したのですが、意味のある違いは見つけられそうでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?