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羽田衝突事故 隠せぬ真実

新年早々に発生した能登半島地震は日を追うに連れ、被害の実態が明らかになり、被害者の数も増え続けています。今回は熊本地震に比べ自衛隊の出動人数が1000人と少ない上にその活動が遅いとの批判を受け、岸田総理は4日になって2000人から4600人に増員し、5日になって更に400人追加し5000人にすると発表しました。確かにテレビで見ていてもオレンジ色の制服の大阪消防署員や名古屋の消防署員の活躍ばかりが目立っていました。そんな中、新潟に向け救援物資を輸送中の海上保安庁の航空機が日航機と衝突すると言う悲惨な事故が起きてしまいました。この海保機は地震発生2時間後には現地の被害状況を空から視察し、その夜には特殊救難隊を小松飛行場まで運んでいました。海上保安庁が陰でこんな災害支援をしていたとは全く知りませんでしたが、国の為に命を賭けて働く海保職員に対し、警察は業務上過失致死の疑いで捜査を始めたと発表しました。なんで警察はそんなに急いで捜査を開始する必要があるのでしょうか?事故調査が終了してからでも遅くないし、そもそも国際的には事故原因追求を最優先し、関係者の刑事免責をしてまでも真の事故原因を割り出し、事故の再発防止に努めることになっています。

当初、国土交通省が海保機の機長に全ての責任をなすりつける形で事件を終わらせようとしたことは、機長との交信記録をわざわざ公表して管制塔は離陸を指示していないと強調したことからも明らかです。これに呼応する形で警察が業務上過失の疑いで捜査を開始すると発表した訳ですが、その裏には木原事件で有名になった露木警察庁長官そして彼を操る栗生官房副長官がいるのかも知れません。何故なら管制塔や羽田飛行場の不祥事と言うことになれば、批判は当然国土交通省や官邸に向かうからです。しかし、今回は彼らの思惑通りに真実を覆い隠すことは出来ませんでした。まず、TBSが事故発生の瞬間の映像を分析し海保機がC滑走路に侵入後、40秒間滑走路に待機していたことを明らかにしました。「滑走路には1機のみ」と言うのが大原則であり航空管制の1丁目一番地にも拘らず、これでは日航機に着陸許可を下ろした後40秒いや侵入時間も含めれば1分以上の間、2機が滑走路に進入中と言う事実を見逃していたことになります。4日のNHKニュース9では「独自」と明示した上で管制官に取材し、海保機が滑走路に侵入しその後待機していたことに気が付かなかった、他の業務に忙殺され、その間レーダーは見ていなかったと証言していました。ここまで来ると政府も最早、機長一人に責任を被せることは出来なくなりました。いや方針転換せざるを得ない為、敢えてNHKに取材させたのかも知れません。

翌5日に斉藤国土交通大臣はC滑走路を8日から再開すると発表し、6日からは滑走路への誤進入を防止するレーダーを常時監視する人員を羽田空港の管制に配置するとしました。スポニチによるとこのレーダーは着陸機が接近する滑走路に別の機体が侵入した場合、注意喚起する機能が付いていて、滑走路は黄色が点滅し機体には赤が表示されるそうです。記者会見でもこの機能が適正に稼働していたことは国土交通省幹部によって確認されています。管制官はこの注意喚起画面さえ見逃していたのです。つまり今度は組織ではなく飽くまで管制官個人が悪いと言う風に方向転換したわけです。斉藤大臣は記者会見の中でレーダーを常時監視する要員を配置すると明らかにしていますが、そんな阿呆な話ってありますか?常時監視要員なんて配置しなくてもアラームが鳴るようにすれば直ぐその注意喚起画面に気が付きますよ。

これ以外にも色々な要因が重なった結果として事故が起こってしまったようです。例えば海保機のトランスポンダーがもし最新式だとしたら他の飛行機からも海保機の位置が確認出来たので、今回の日航機も滑走路に待機する海保機の存在を事前に認識し着陸回避出来ていたかも知れません。海保機のトランスポンダーが旧式だったことは海外のメディアが報じているのですが、これが事故の原因とまでは報じていません。また滑走路侵入の際の警告灯が12月27日から停止していたことが羽田空港からNOTAM(パイロット等への情報共有ツール)への通知で明らかになっています。このことが事故の直接原因とは思いませんが、少なくとも管制官もこの通知内容を認識していたはずで、C滑走路への「より一層の注意」が必要だったのではないでしょうか。

斉藤大臣はレーダーを常時監視する人員を配置すると言いながら、管制塔の総人員は変えずに中で「やりくり」すると言っていました。空港管制業務ってそんなに余裕がある人員配置なのでしょうか?海保機の旧式トランスポンダーの件もそうですが、政府は防衛費を倍増するくらいならまずは本当に必要なところに予算を付けて欲しいものです。いずれにしても相変わらず日本のマスメディアは政府の言うことをそのまま垂れ流すだけで、本来マスコミとしてやるべき政府の不作為を追求する気など全く無いようです。少なくともスポーツ紙の方が真実追求の姿勢が残っていて、まだマシな気がして来ました。

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