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連載:【「ラーメン二郎」は「ラーメン」ではないのか】最終夜『山を登らねば二郎ではないのか』


こんばんは。キリヲです。


いきなり冒頭からあれなんですけど。
ホームレスは好き好んでホームレスになったわけではないと思います。裏側には書ききれない思いがあることを期待したり、同情したくなる気持ちもわからないではない。

確かにそうは思いますが、社会問題ということに首を突っ込んだ以上はこうなっても仕方ないのかと思います。

運営の皆様、そこんとこよろしくお願いします。


私も今まで社会問題に切り込んでまいりました。

ここまで全5回。ラーメン二郎について語るべきことをまとめてきました。
長い長い道のりでした。鬱にもやられながら飯を食うことによって復活の狼煙をあげようとここまでやってきたので、最後の最後まで書いていきたいと思っております。



ぶっちゃけた話、あなたたちさ。


「ラーメン二郎なんか食いきれない」って思っているでしょう。


ほら、図星じゃない。
あんな見た目のものを出されたらそりゃ無理だろって思っていらっしゃるわけでしょう。

そんなこたあね、ないんですよ。


「またまた、そんなこと言ってさ…すっかりラーメン二郎の回し者になったジロリアンは信用ならない」


とか思ってるんでしょ!?!?!?


そういう人たちの肩のこりをほぐしてあげたい。
人呼んで、整二郎師と発しやす。

ラーメン二郎の麺量


「ラーメン二郎は麺量が多い」

これは事実である。

それもそのはず、学生や若者に対する無償の愛(とはいえ当時300円くらい)と親父さんの人柄で人気を博したのが三田のスタートであり、そんじょそこらの店と同レベルと考えるのがまずもって無謀なわけだ。

真面目に考察していこう。

基本的に、現代のラーメン二郎においては「小」で生麺300〜400g、
「大」で生麺400g〜 と言われている。

これはいったいどれくらいの量かというと、スーパーで売っている細めの生麺。あれがだいたい多くて140gくらいだから、「小」でその市販麺がおよそ2玉〜3玉弱だと思えばよい。

一般的な店の「大盛り」と書かれたメニューでおよそ市販麺1.5玉が通念とされているだろうか。「特盛」で2玉。それを考えると、ラーメン二郎における「小」は一般的な特盛サイズである。

また、これらの麺は適切な茹で時間で茹でられると、水分を吸収し1.5〜1.8倍ほどの量になると言われている。

ということは、茹で前400gだと茹で後には約600〜720gほどになるわけだ。

よく街のラーメン屋で「つけめん1キロ」などと書かれているが、あれも実際のところ、二郎換算だと茹で前約550〜700g(多いかも)と計算できる。

かなり多めに感じられる表記だが、二郎だと大ラーメンで茹で前550gくらい入っている店は結構あると思われるので、つけめん1キロって実はそこまで大した量じゃないのである。

ツッコミどころを提供しながら書くのは難しい。真顔で書いている私のことを想像してほしい。


と考えたらやはり。このラーメン二郎という存在は確かに気軽に食べられないものだろう。

そもそもこの量で「小」とか言っちゃってるわけだ。ようは「普通」サイズなのに、「小」と書いているところに粋を感じる、なんて言い始めたら病気の始まりである。

行き着く果ての量イキり

そして「大」だ。

先に言っておくが、チャレンジメニューではない。あくまで普通に、そこに食券機のボタンとして用意されているものである。
それを勘違いしてインスタ映えを狙おうなどという輩は言語道断。
我々はそういった者を許すことはない。

「大ラーメン」のボタンを押すことが日常化した人間は、やはりどこかおかしいのかもしれない。

私がよく伺うラーメン二郎の某店舗でこんな話を聞いたことがある。
「大ラーメンは1日に10杯くらい出ればいいもの」

それくらいのボリュームを提供してくれるのだ。たかだか800〜900円くらいのものなのに。
これを無償の愛と言わずになんと言おうか。我々は二郎に甘えたまま、毎度毎度あの強烈なものを食うことに何かしらの快感を感じているのである。


ラーメン二郎を適量食べるには

ここまで読めば当然のことながら
「ほらやっぱハードル高いじゃん」ということになる。
それもまあ仕方のないことだ。

しかしながら皆さんご存知だろうか…「麺少なめ」「麺半分」という言葉を。

これは「コール」と呼ばれるものではない。あくまで「予めのお願い」なわけであり、「ニンニク入れますか」と聞かれたところで「麺半分」をお願いしたって、既にアナタのラーメンはほぼ完成しているのだ。

そうなればこれ、上記のことをどのタイミングで言うかというと…
食券を出す時、もしくは並んでいる最中に麺量について聞かれた際である。

これは店によって様々だ。
並んでいる最中に助手さんが「食券を見せてください」と言ってくる店もあるし、席に着くまで何も言われない店もある。

そこんところは緊張感との戦いなのだ。こればかりは我々も意表を突かれるより、自分自身でその瞬間を迎える心の準備をせねばならない。

麺量を指定するまでは一ミリも気持ちを緩められない緊張感は苦しい。ただ、それにはしっかりと応じてくれるのはラーメン二郎のよいことだ。インスパイア店だと舌打ちしてくる阿呆な店員までいる、と女の子に嘆かれたことがある。

こちらが誠意を見せれば、あちらも誠意を見せてくれる。

これこそがコミュニケーションなのだと思わされる一幕なのである。

ちなみに「麺少なめ」>「麺半分」だと思っておいて間違いない。

あと、「小」よりも少ない「少なめ」のラーメンの食券や、
「普通のラーメン」と書かれた食券がある店もあるので、そういった店では無理せずにこれらのボタンを押してみよう。


「お前の言う普通ってなんなんだよ」って、昔某店で凄まれたことがあるのは内緒です。


麺、ヤサイよりも恐ろしい相手

それは豚である。

肉塊…それもそのはず焼肉屋でちまちまと食うレベルの肉ではないのだ。それに加えてヤサイと麺を食わねばならない。

麺と同様「豚、少なくしてください」というお願いも通じることがあるので、試してみるとよいだろう。

ちなみに知り合いは「豚1つで」と頼んだら、本来3つくらいに切られる塊をそのまま載せられたことがある。
間違ってもこういうジョークを実行されないよう、美味しい量を食べたいと願って楽しみ続けてほしい。

残すのは恥ずかしい。そう思うのもわかる。

とはいえ、残すのは恥ずかしい。本当に恥ずかしい。これは私もよくわかる。

何度も撃沈しそうになった。とはいえ、そういうときはたいてい普通じゃないものが目の前に現れているときだが。


お残ししてしまったときはどうすれば良いのか。

簡単なことだ。一言、「残してしまいました」と言って軽く会釈して帰るだけである。


どうしても残したくない、と思う人もいるかもしれない。何分かかってでも、と思ってしまう心理も非常によくわかるわけで、その根性については我々も敬意を表する。

だがしかし。向こうも並んでいるたくさんのお客様を待たせているのだ。

ラーメン二郎においては基本的に2つのロットでラーメンの提供を行う。

たとえば。
第一ロット、6杯。すべて作り終えたら第二ロット、6杯。

第二ロット製作中、第三ロット分制作に取り掛かった頃には第一ロットは食べ終えていることが望ましい。
ラーメンが目の前に現れてからおよそ10分である。

第三ロットが出来上がった頃には、第一ロットの客はすべて捌けている必要がある。ここまでで15分ほど。これ以上、フードファイトをされたところで、店のオペレーションに支障が出てしまう。

だから、自分のキャパシティを超えるラーメンの注文は避けたほうがよいのだ。


また、ラーメンを丁寧に食べる必要はない。やたら丁寧に食べている人がいるが、意識せずそうなっているのであれば、およそ15分という時間内に食べられる量を見極める。
もしくはお残しをし、食後は駅前のルノワールでサンドイッチとコーヒーでもつついてから次回挑戦についての戦略を立ててもらいたい。

嗚呼!悲しき性!!ロットバトルは実在するか?

世界各国には様々な「都市伝説」が存在する。
それに関しては真偽の検討も難しく、いわばただの妄想というべき伝説となっていたりするわけだ。

「ロットバトル」は実在する。
それは、各人の脳内で起こる茹で前350g重量挙げのようなものなのだ。

先の項で述べたように、ラーメン二郎はロット制であり、基本的に横に並んだ他の客とはほぼ同タイミングで食事を始めることになる。

ラーメン二郎を食べ始めた我々は、まず「没頭」というフェーズに入る。麺を掘り起こしてズルっとやる。ベジファーストとか言いながらまずヤサイを食う。何もかも綺麗に天地を返すように麺を掘り起こしてヤサイを沈める。
様々な流儀があれど、我々はとにかく最初のうちは食べることに没入することができる。

しかしだ。

二郎を食べ慣れているからといって、満腹感と無縁のわけがない。手が止まる。だいたい5分から7分を超えたところで横の人の丼を見る。大抵見る。よっぽど没入していない限りは必ず「チラ見」フェーズにたどり着く。もう、結構な限界が近づいてきている証拠なのだ。
私の場合はかなりの枚数の写真と動画をとるため、序盤戦は少し遅めのスタートを余儀なくされ、加速度もとてもじゃないが早くない。5〜7分ころに横の人がチラッと見て
「アッ、こいつそんなに進んでないじゃん。よかった。。。」と安心するような雰囲気を醸してくることがある。

これが油断になるのだ。

大抵の人はここで結構スピードダウンしがちなところを、私は全く速度を落とさずに維持できる。よほどアホみたいな盛りのブツでない限り、後半の失速は見込めないのだ。
そんでもって食うのも早い。これは何が要因かというと、「箸で持ってフーフーする」ムーブをしないからである。

だいたい早めにサクッと食い終わり、フィニッシュムーブをキメて軽く会釈して退店する。
チラ見してきた隣人は大抵「悶絶」のフェーズを迎えることになるのだ。
ちなみに立場が逆転することは多々ある。時として人は敗者となりうるわけである。私とて何度も危機を迎えたことがある。あな恐ろしや、やラーメン二郎の愛情よ。


この話に出てくる登場人物が、果たしてどう考えていたかなど、知る由もない。

ロットバトルは当人の脳内で起こる妄想の世界での戦いなのである。


「足りた?」

ラーメン二郎、怖いものじゃなくなってきたでしょう。

私は「麺、四分の一」というお願いが通った店も知っております。
公にそのルールが設定されているわけではないので、どうしたらよいのかわからない場合は、インターネットの広大な海から最寄りのお店の情報を探してみることをおすすめします。
間違っても「麺抜き」などと言った後に「ヤサイマシマシ」なんて不義理なことはしないようにしましょう。

だってたぶんそれ、美味しいとは到底思えないし。個人的に「麺抜き」だけはやめておいていただきたいと思います。

それでも様々な配慮をして、ラーメンを食べることを許してくれるのはラーメン二郎の良いところ。

何故私がここまで熱く語るかと言うと、それは「ラーメン二郎は美味しい」と、心から思っているからです。


最後になりますが、こんなことわざがあります。

身を以て体感するには、ラーメン二郎をたくさん食べ歩いてみてください。

「店主が小と言えば小」


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